コラム

日米安保をトランプが破棄しない理由──日米にとって安保は「お得」な条約だ

2019年07月08日(月)19時15分

次にホルムズ海峡がこれからずっと危険になるとは思わないが、自衛隊の護衛艦は既にアフリカのジブチを根拠地としてアデン湾で海賊対策をしているのだから、ホルムズ海峡にまでその活動範囲を広げればいい。中国やインドにも呼び掛けて、ホルムズ海峡を守る国際構想を日本が示せば、それはアメリカでの日本のイメージを一変させる。

思いやり予算も増額が必要だろう。2000億円は多額に見えるが、米国防費6391億ドル(約71兆円、18年度)に比べるとインパクトは弱い。ただ日本は思いやり予算増額の見返りをアメリカに要求するべきだ。日本がアメリカから戦闘機などの兵器を購入する際、技術情報を米側がもっと開示し、日本が事故防止や部品生産ができるようにしてもらう。そして北朝鮮などの核ミサイルを抑止する手段をもっと整備してもらうべきだ。

「日本を守る米軍を自衛隊は守らない」という不公平や、安保における対米依存は、アメリカに押し付けられたものではない。日本が集団的自衛権の行使を自らに禁じていたため生じた結果、つまり自縄自縛なのである。トランプの圧力を奇貨として日米安保を破棄するのでなく、もっと公明正大なものとし、それによって対米依存度を減らし、日本人としての自尊心も回復してはどうだろう。

<2019年7月16日号掲載>

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プロフィール

河東哲夫

(かわとう・あきお)外交アナリスト。
外交官としてロシア公使、ウズベキスタン大使などを歴任。メールマガジン『文明の万華鏡』を主宰。著書に『米・中・ロシア 虚像に怯えるな』(草思社)など。最新刊は『日本がウクライナになる日』(CCCメディアハウス)  <筆者の過去記事一覧はこちら

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