コラム

【人生を変えた55冊】思い込みの人物像を覆すインタビューの醍醐味

2020年08月21日(金)16時00分

エディー・ジョーンズは読んだ本それぞれに明確な考えを持っていた Newsweek Japan

<本誌特集「人生を変えた55冊」では作家デイヴィッド・ピースとラグビー監督エディー・ジョーンズに取材。興味深い話が聞けただけでなく、彼らに抱いていたイメージまで一変した>

僕がジャーナリストになりたいと思った最大の理由は、興味深い人物と話しをして、彼らの考えを聞ける機会が得られることだった。だから、8月11/18日号ニューズウィーク日本版のカバー特集「人生を変えた55冊」で、イギリス人作家のデイヴィッド・ピースや、ラグビー監督(イングランド代表監督、元日本代表監督)のエディー・ジョーンズにインタビューできたのは素晴らしい体験だった。

表紙でその本を判断するべきではないとはよく言われるが、僕はさらに、著作でその著者を判断するべきではないとも思う。誰かがつくり上げた作品を読んでいるのだから、作品がその人物について多くのことを語っている、と考えるのは当たり前に思える。でも、事はそう単純ではない。

【特集:人生を変えた55冊】「別の国、人種、セクシャリティーの本で孤立の時代に共感を」デイヴィッド・ピース

デイヴィッド・ピースの本は時に、ダークな部分を掘り下げる。白状すると僕は、彼の作品がまぎれもなく卓越していて極めて独創的だとは思いつつも、時には読み進めるのがなかなか困難に感じることがあった。

そんな彼自身は、話して見ると分かるが抜群に親切かつ思慮深い人だ。控えめで、インタビューに十分な時間を割いてくれ、惜しげもなく考えを聞かせてくれた。アクセントも上品だ。汚い言葉なんか使わない。名前の文字を間違っても多分、許してくれるだろう。

もしかすると、人間に備わり得る悪を解釈するためには、人並み以上の思いやりと品位を持っている必要があるのではないだろうか。

面白いことに、称賛する作家の1人として彼が挙げたのは、ロアルド・ダールだった。素晴らしく愉快な本で世界中の子供たちを喜ばせている作家だ。どうやら作家自身はひどい人物のようだが。

プロフィール

コリン・ジョイス

フリージャーナリスト。1970年、イギリス生まれ。92年に来日し、神戸と東京で暮らす。ニューズウィーク日本版記者、英デイリー・テレグラフ紙東京支局長を経て、フリーに。日本、ニューヨークでの滞在を経て2010年、16年ぶりに故郷イングランドに帰国。フリーランスのジャーナリストとしてイングランドのエセックスを拠点に活動する。ビールとサッカーをこよなく愛す。著書に『「ニッポン社会」入門――英国人記者の抱腹レポート』(NHK生活人新書)、『新「ニッポン社会」入門--英国人、日本で再び発見する』(三賢社)、『マインド・ザ・ギャップ! 日本とイギリスの〈すきま〉』(NHK出版新書)、『なぜオックスフォードが世界一の大学なのか』(三賢社)など。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

EXCLUSIVE-イラン、インド船籍ガスタンカー

ワールド

イラン新指導者、負傷で姿見せない公算 外見損傷か=

ワールド

キューバ、米と協議開始 石油封鎖の影響深刻化

ビジネス

米個人消費1月堅調、PCE価格指数前年比2.8%上
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのミュージカル入門
特集:教養としてのミュージカル入門
2026年3月17日号(3/10発売)

社会と時代を鮮烈に描き出すミュージカル。意外にポリティカルなエンタメの「魔力」を学ぶ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ショーン・ペンは黙らない――「ウクライナへの裏切りは常軌を逸している」その怒りの理由
  • 2
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製をモデルにした米国製ドローンを投入
  • 3
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド太平洋防衛
  • 4
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 5
    「イラン送りにすべき...」トランプ孫娘、警護隊引き…
  • 6
    「映画賞の世界は、はっきり言って地獄だ」――ショー…
  • 7
    有人機の「盾」となる使い捨て無人機...空の戦いに革…
  • 8
    北極海で見つかった「400年近く生きる生物」がSNSで…
  • 9
    謎すぎる...戦争嫌いのMAGAがなぜイラン攻撃を支持す…
  • 10
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 4
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 6
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 7
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗…
  • 8
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 9
    40年以上ぶり...イスラエル戦闘機「F-35I」が、イラ…
  • 10
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 6
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story