コラム

思惑入り乱れる「即決」イギリス総選挙

2017年04月21日(金)10時40分

労働党はボロ負けするだろう。それほどの大敗をしたからにはジェレミー・コービン党首は退陣すべきだ、となるに違いない。だが、これまでのコービンとその支持者たちの行動を見るかぎり、彼は結果がどうあれ党首に留まるかもしれない。特に、悲惨なレベルの支持率が、選挙戦の期間中にちょっとでも改善するようなことがあればなおさらだ。

もしそんなことになれば、きっと労働党主流派の議員たちは、分裂して新たに中道左派政党を結成するだろう。コービン党首を降ろしたポスト・コービンの労働党か、あるいは新たに誕生した中道左派政党は、次の総選挙が行われるまでに有権者の信頼を回復する時間はまだ5年ある、と考えるだろう。

たとえ総選挙が屈辱の結果になろうと、多くの労働党議員がいま総選挙を行うことを歓迎しているのはこのためであり、いつまでもレームダック状態で進むよりそのほうがましだと思っているからだ。

【参考記事】抜き打ち解散を宣言したメイ英首相の打算(付表:欧州詳細日程)

自由民主党は議席を増やすだろうし(2桁になるかもしれない!)、この結果は彼らが今や真に与党と対抗できる政党になった証しであり、有権者が二度目のブレグジット国民投票を望んでいる明らかな証拠だと主張するだろう。彼らは今後の5年間も、昨年終わったはずの戦いを戦い続けるだろう。

スコットランド民族党(SNP)は、イギリスは総選挙を行えるのにスコットランドの人々は独立の是非を問う2度目の住民投票を行えない、と怒りの声を上げるだろう。

イギリス独立党(UKIP)は低迷し、方向性を見失うだろう。今では保守党がブレグジットを率いているし、UKIPを突き動かしてきた推進力は奪われてしまった。

僕は、こうした予想が絶対に確かだなどと言うつもりはないが、一般常識からかけ離れた大胆な予想をしているとも思えない。どんな結果になるか、見てみようじゃないか。

プロフィール

コリン・ジョイス

フリージャーナリスト。1970年、イギリス生まれ。92年に来日し、神戸と東京で暮らす。ニューズウィーク日本版記者、英デイリー・テレグラフ紙東京支局長を経て、フリーに。日本、ニューヨークでの滞在を経て2010年、16年ぶりに故郷イングランドに帰国。フリーランスのジャーナリストとしてイングランドのエセックスを拠点に活動する。ビールとサッカーをこよなく愛す。著書に『「ニッポン社会」入門――英国人記者の抱腹レポート』(NHK生活人新書)、『新「ニッポン社会」入門--英国人、日本で再び発見する』(三賢社)、『マインド・ザ・ギャップ! 日本とイギリスの〈すきま〉』(NHK出版新書)、『なぜオックスフォードが世界一の大学なのか』(三賢社)など。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

為替や金利は様々な要因で決まり、財政政策のみ取り出

ビジネス

25年の企業倒産件数、12年ぶり高水準 物価高など

ワールド

韓国、年初の外平債発行検討 外貨準備増強=関係筋

ワールド

日韓首脳が会談、互いに重要性を強調 高市氏の地元・
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:AI兵士の新しい戦争
特集:AI兵士の新しい戦争
2026年1月13日号(1/ 6発売)

ヒューマノイド・ロボット「ファントムMK1」がアメリカの戦場と戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救った...実際の写真を公開、「親の直感を信じて」
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    中国が投稿したアメリカをラップで風刺するAI動画を…
  • 5
    衛星画像で見る「消し炭」の軍事施設...ベネズエラで…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    筋力はなぜパワーを必要としないのか?...動きを変え…
  • 8
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 9
    Netflix『ストレンジャー・シングス』最終シーズンへ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 5
    中国が投稿したアメリカをラップで風刺するAI動画を…
  • 6
    次々に船に降り立つ兵士たち...米南方軍が「影の船団…
  • 7
    Netflix『ストレンジャー・シングス』最終シーズンへ…
  • 8
    ベネズエラの二の舞を恐れイランの最高指導者ハメネ…
  • 9
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救っ…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 4
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 5
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 6
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 7
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 8
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 9
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story