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「偽情報・誤情報」研究が直面する5つの課題
課題2 偽・誤情報問題は政治的である
アメリカでのこの分野の研究の後退と、研究機関や研究者へのバッシングが示すように、この領域の研究は政治的な問題とは切り離せない。共和党を中心とする右派によって多くの研究が阻害された。
また、逆に予算が集まりやすく、政治的に優先されるテーマは研究が進みやすくなる。このテーマはIT、医療、経済、人種、宗教、教育、軍事など他方面に関係しており、政治的な利用がしやすい。偽・誤情報問題は高度に政治的問題なのだ。
また、研究者の多くは政治とは離れた中立的な立場で研究を行おうとしているが、予算、データの入手、その後のキャリアなど政治的な問題が山積みなのである。
冒頭に書いた、「効果についてはともかくとして、記録を残すという意味でやる意義はあると思います」という回答は、当該省庁の施策を言外で支持している。
繰り返しになるが、その方のことを非難するつもりは毛頭ない。そもそも「効果が検証されていない対策をなぜ行うんでしょう?」という質問自体もきわめて政治的と言うこともできる。
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