コラム

「偽情報・誤情報」研究が直面する5つの課題

2024年12月29日(日)07時38分

課題3 因果関係の立証は困難

偽・誤情報の問題は複雑であり、因果関係を証明することが難しい。その理由は大きく2つある。


1.多くの研究は行動にいたるまでを調査しておらず、態度や信念までに留まっている

しかし、信念から行動までは大きな隔たりがある。そのため反ワクチン陰謀論とワクチン摂取率の関係も立証は難しい。2021年の最初の3カ月の間、フェイスブック上でもっとも読まれたワクチン関係の投稿は、偽・誤情報ではなく、健康な医師がワクチン接種後に死亡した記事だった。もちろん、これは偽・誤情報ではない。

2.測定、評価方法の問題

ピザゲートでの事件では、数百万人が陰謀論に接触したが、レストランに銃を持って現れたのはひとりだけだった。統計的には数百万分の1ということになる。確率的には無視してよい数だが、社会問題としては無視できないだろう。

2つの論考では触れられていなかったが、そもそも因果関係は適当にデータを入れればわかるわけではなく、因果関係を仮定しなければならない。適切な仮定を作ることができていない可能性は高く、さらに悪いことで不適切な仮定であっても因果関係の検証はできるため、一見妥当なものに見えてしまう。

プロフィール

一田和樹

複数のIT企業の経営にたずさわった後、2011年にカナダの永住権を取得しバンクーバーに移住。同時に小説家としてデビュー。リアルに起こり得るサイバー犯罪をテーマにした小説とネット世論操作に関する著作や評論を多数発表している。『原発サイバートラップ』(集英社)『天才ハッカー安部響子と五分間の相棒』(集英社)『フェイクニュース 新しい戦略的戦争兵器』(角川新書)『ネット世論操作とデジタル影響工作』(共著、原書房)など著作多数。X(旧ツイッター)。明治大学サイバーセキュリティ研究所客員研究員。新領域安全保障研究所。

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