そんな彼もイラク戦争の折には、難民となって欧州に逃れたと聞いている。その後の消息は不明である。

シリアには、ホムスという街の住民(ホムシーと呼ばれる)を「おバカキャラ」としてイジるジョークがある。例えばこんな小噺(こばなし)。

「あるホムシーが鶏を2羽飼っていたが、1羽が病気になってしまった。ホムシーは、そのうち1羽をさばいてスープにし、それを病気の1羽に飲ませた」

これに対し、ホムスの人々もユーモアで切り返すのが、彼らの伝統であった。

しかし、2011年からの内戦でホムスの市街地は壊滅。砂漠に咲いた花のような彼らの笑顔を思い出すと、あまりに切ない。

<2020年12月20日/2021年1月5日号掲載>

【関連記事】
ニューズウィーク日本版 世界宗教入門
2026年5月5日/12日号(4月28日発売)は「世界宗教入門」特集。

イラン戦争の背景にある三大一神教を基礎から読み解く[PLUS]宗教学者・加藤喜之教授の「福音派」超解説

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら
※画像をクリックするとアマゾンに飛びます