コラム

横暴な中国の「サラミ戦術」に今こそ対抗せよ

2020年09月11日(金)11時47分

ILLUSTRATION BY AYAKO OCHI FOR NEWSWEEK JAPAN

<香港問題のみならず、チベット、ウイグル、そして海洋にも中国の覇権主義は至っており、「香港の次は台湾、そして尖閣」という警鐘も鳴らされている。日本にとっても決して人ごとではない>

【帰属の証明】
尖閣諸島の帰属を明確にする方法が一つある。

島で香港に関するデモをしてみればよい。

認可されれば日本。

弾圧されれば中国である。

◇ ◇ ◇

2020年6月30日、中国の習近平(シー・チンピン)国家主席は香港国家安全維持法(国安法)に署名。これにより、香港における従来の高度な自治と法の支配は根本から揺らぐことになり、同地の発展を支えてきた「一国二制度」は完全に形骸化された。

目下、中国には国際社会から批判が集中している。香港は中国と世界を結ぶ「金融・ビジネスセンター」。中国への直接投資の約7割は香港を経由して行われてきた。国際社会は香港を無視できない。

なかでも日本は、香港との深い結び付きを有している。在香港の日系企業の数は約1400社に及び、これは中国以外の国では最も多い数字である。

G7は外相声明として国安法の導入に関する懸念を表明したが、これを主導したのは日本であった。

中国による弾圧はチベットやウイグルにも及んでいるが、その覇権主義は海洋にまで至っている。

7月には、南シナ海のパラセル諸島周辺で中国海軍が軍事演習を断行。コロナ対策に世界中が追われているなかで、その隙を突くようにして対外膨張の手を強める中国の態度は、国際社会の怒りを買った。

このような中国の動向は、日本にとっても人ごとではない。中国の公船による尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の領海への侵入は既に常態化。「香港の次は台湾、そして尖閣」という警鐘も鳴らされている。

「サラミ戦術」に対抗せよ

中国は日本に対し「サラミ戦術」を使っているとされる。この戦術はハンガリー共産党のラーコシ・マーチャーシュの言葉に由来するもので、「サラミを薄く切るように少しずつ状況を変えていけば抵抗は少ない」という意味を表す。日本は既に随分とスライスされてしまっているのではないか。

7月23日、アメリカのマイク・ポンペオ国務長官は、対中政策について以下のように語った。

【関連ジョーク記事】
「自粛要請」で外出を控えた日本人は世界に冠たる不思議な人々
日本人の「集団主義」「同調圧力」には良い面も悪い面もある

プロフィール
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

ロ、エクソンの「サハリン1」権益売却期限を1年延長

ビジネス

NY外為市場=円が小幅上昇、介入に警戒感

ビジネス

米国株式市場=ダウ・S&P最高値、ナイキやマイクロ

ワールド

ウクライナ紛争は26年に終結、ロシア人の過半数が想
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 2
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足度100%の作品も、アジア作品が大躍進
  • 3
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...どこでも魚を養殖できる岡山理科大学の好適環境水
  • 4
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 5
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これま…
  • 6
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 7
    ノルウェーの海岸で金属探知機が掘り当てた、1200年…
  • 8
    ゴキブリが大量発生、カニやロブスターが減少...観測…
  • 9
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 10
    「時代劇を頼む」と言われた...岡田准一が語る、侍た…
  • 1
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 4
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 5
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 6
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 7
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 8
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 9
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 10
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story