米ロ首脳会談の失敗は必然だった...トランプはどこで間違えたのか

トランプにとって米ロ首脳会談は吉と出たのか凶と出たのか White House handout via EYEPRES-REUTERS
<各地の戦争を解決してきたと自画自賛するトランプだが、今回ばかりは解決したとは言えなさそうだ>
トランプ米大統領は、8月15日にアラスカ州アンカレジで行ったロシアのプーチン大統領との首脳会談をめぐって厳しい批判を浴びるだろう。
この10年で初めてプーチンをアメリカ領内に招き、レッドカーペットを共に歩いて、大統領専用車にまで同乗させたにもかかわらず、最低限の目標すら達成できなかったのだ。トランプとしてはせめて、ロシアとウクライナの一時停戦への同意を取り付けたかったはずだ。
プーチンはトランプを褒めたたえ、トランプもプーチンのことを「素晴らしいパートナー」と呼んだが、ロシア側はこの問題で基本的な立場を全く譲らなかったようだ。
トランプにとってまずかったのは、譲歩を引き出せそうだと判断できる材料が全くないのに、首脳会談の開催に同意したことだ。常識的には、この種の重要な首脳会談は、双方が譲歩をするという合理的な見通しが立って初めて設定されるものだ。
今回の首脳会談は、始まる前から失敗が運命づけられていたのかもしれない。首脳会談を目前にし、トランプが発するメッセージは一貫性を欠いていた。
トランプは最初、ロシアとウクライナの間の「領土交換」に言及していたが、後で主張を変更した。13日にはヨーロッパ諸国の首脳とオンライン会談を行い、米ロ首脳会談の目的はあくまでも停戦の実現だと述べ、ウクライナのゼレンスキー大統領の同意がなければ領土に関する決定はなされないと約束したのだ。