コラム

日本人の「集団主義」「同調圧力」には良い面も悪い面もある

2020年08月07日(金)11時40分

ILLUSTRATION BY AYAKO OCHI FOR NEWSWEEK JAPAN

<国民にマスクを着用させるにはどうすればいいか。アメリカ、ドイツ、イタリア、そして日本。こんなジョークから見えてくる民族性もある>

【マスク】
コロナ禍において、各国の政府が国民にマスクの着用を求めることになった。

アメリカ政府はこう発表した。

「マスクをする人は英雄です」

ドイツ政府はこう発表した。

「マスクをするのがルールです」

イタリア政府はこう発表した。

「マスクをすると異性にモテます」

日本政府はこう発表した。

「みんなマスクしていますよ」

◇ ◇ ◇

日本人の民族性の1つとして、しばしば挙げられるのが「集団主義」。かつては「赤信号みんなで渡れば怖くない」といった表現が流行したこともあった。

今回のコロナ禍では「同調圧力」といった言葉も改めて注目を集めている。「外出時にマスクをしていないと周囲の反応が怖い」と感じる人が少なくないという調査結果などが報告されている。

日本社会には「空気を読む」という表現も定着して既に久しいが、周囲の状況や雰囲気に対して自らの行動を合わせていくという態度は、確かに日本人には特に色濃く見られるのかもしれない。

ただし、このような側面を負の要素としてのみ捉える必要は必ずしもないであろう。自分の身の回りに丁寧に目を配り、他者の迷惑にならないように留意し、自身の行動を律していくという行為は、決して悪いことではない。むしろ日本人のこのような「公共心」こそ、爆発的な感染拡大を抑えることのできた要因の1つであろう。

実際、マスクの着用に関しても、「自分が感染したくない」という心理と同時に「他者に感染させたくない」という思いが日本人には強かったとされる。

ブラッド・ピットも感嘆!

一方、個人主義の強いアメリカでは、マスクの使用を嫌がる傾向が根強い。アメリカ人の感覚の中には「顔を隠すのは悪人」というイメージもあるという。

しかし、そのような理由で「マスクをしない」という選択肢を選ぶということは、「公」よりも「個」の価値観を優先している結果と言えよう。無論、アメリカ人にとって「個の自由」は建国以来の理念である。

【関連ジョーク記事】「自粛要請」で外出を控えた日本人は世界に冠たる不思議な人々

プロフィール
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米FRB議長人選、候補に「驚くべき名前も」=トラン

ワールド

サウジ、米に6000億ドル投資へ 米はF35戦闘機

ビジネス

再送米経済「対応困難な均衡状態」、今後の指標に方向

ビジネス

再送MSとエヌビディアが戦略提携、アンソロピックに
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影風景がSNSで話題に、「再現度が高すぎる」とファン興奮
  • 4
    マイケル・J・フォックスが新著で初めて語る、40年目…
  • 5
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 6
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 7
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 8
    「嘘つき」「極右」 嫌われる参政党が、それでも熱狂…
  • 9
    「日本人ファースト」「オーガニック右翼」というイ…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 10
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story