コラム

優等生政治家ブルームバーグに足りないもの

2019年12月03日(火)18時00分

穏健派の最有力候補と目されるジョー・バイデン前副大統領は、今のところあらゆる世論調査でリードしているが、全国規模の舞台ではパッとしない。インディアナ州サウスベンド市のピート・ブーティジェッジ市長に関しては、民主党内から同性愛者で政治経験が浅いため、全米では受け入れられないという声が上がりそうだ。従って、膨大な資金を持ち、誠実で有能で控えめだという評判のブルームバーグが、指名を獲得することは十分に考えられる。

ただし多くの民主党支持者は、彼を日和見と考えている。実際、立候補の表明は遅かった。米北東部出身のユダヤ人で、民主党、共和党、無党派、民主党と渡り歩いてきた。ポピュリズムが優勢で、アメリカの成人の4割が400ドルの急な支出を賄える貯蓄もない時代。ブルームバーグはそんな時代の大統領選に出馬する3人目の億万長者だ。

圧倒的に金持ちで、政治的に中道で、リーダーとして極めて有能で、反トランプの穏健派というプロフィールは、大統領候補としては理性的過ぎるかもしれない。そう言えば前回の大統領選の勝者は、有能さとは全く無縁だった。

<本誌2019年12月10日号掲載>

【参考記事】打倒トランプに、ブルームバーグが立ち上がった
【参考記事】ブルームバーグ出馬に民主党内からも批判噴出の理由

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プロフィール

グレン・カール

GLENN CARLE 元CIA諜報員。約20年間にわたり世界各地での諜報・工作活動に関わり、後に米国家情報会議情報分析次官として米政府のテロ分析責任者を務めた

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