コラム

カーク暗殺の直後から「極左」批判...トランプ政権が完全無視した「都合の悪い真実」とは?

2025年09月29日(月)14時12分
チャーリー・カーク暗殺容疑で逮捕されたタイラー・ロビンソン

カークの「憎悪にはうんざりだった」と述べていたロビンソン UTAH STATE COURTS-HANDOUT-REUTERS

<アメリカでは「ファクト」は二の次になってしまった──事件後の政権の行動の裏に見える思惑とは?>

トランプ米大統領とも極めて近い関係にあった右派政治活動家のチャーリー・カークが暗殺された事件に関する「ファクト(事実)」は明白だ。

9月10日、カークがユタ州の大学で質疑応答中、ライフルの銃弾がその首を貫いた。恐怖で凍り付く3000人の聴衆の眼前で、カークは大量に出血しながら椅子から崩れ落ちた。

その33時間後、警察はタイラー・ロビンソンという22歳の男性を容疑者として逮捕した。動機についてロビンソンは恋人へのメッセージでこう述べている。「あいつ(カーク)の憎悪にはうんざりだった。ああいう憎しみは、話し合いじゃ解決できない」

ショッキングな暗殺事件は、人々の強い感情をあおり、社会の安定を揺るがす。その点はいかなる社会環境でも言えることだが、トランプが君臨する「ポスト・トゥルース(真実)」のアメリカの際立った特徴は、「ファクト」が二の次になっていることだ。

そして政治の世界で最も大きな意味を持つ「ファクト」は、誰がナラティブをコントロールするのか、という点にある。

捜査当局がカークの死亡を発表した5時間後、つまりロビンソンが逮捕される1日前の段階で、まだ事実関係が明らかになっていないにもかかわらず、トランプはビデオ演説を行い、「極左」の言説が「今わが国で起きているテロ行為の直接的原因になっている」と非難した。

プロフィール

グレン・カール

GLENN CARLE 元CIA諜報員。約20年間にわたり世界各地での諜報・工作活動に関わり、後に米国家情報会議情報分析次官として米政府のテロ分析責任者を務めた

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏が閣僚刷新検討 イラン戦争が打撃 選挙控

ワールド

商船三井のLPG船がホルムズ海峡を通過 日本関係2

ワールド

ドバイの米オラクル施設に迎撃破片が落下、負傷者なし

ワールド

トランプ政権による大学への人種データ開示命令を仮差
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
2026年4月 7日号(3/31発売)

国際基準の情報開示や多様な認証制度──本当の「持続可能性」が問われる時代へ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始めた限界
  • 2
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐせ・ワースト1
  • 3
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引、インサイダー疑惑が市場に波紋
  • 4
    イラン戦争は「ハルマゲドンの前兆」か? トランプ…
  • 5
    【写真特集】天山山脈を生きるオオカミハンター
  • 6
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ…
  • 7
    「高市しぐさ」の問題は「媚び」だけか?...異形の「…
  • 8
    血圧やコレステロール値より重要?死亡リスクを予測…
  • 9
    中国は「アカデミズムの支配」を狙っている? 学術誌…
  • 10
    【銘柄】イラン情勢で一躍脚光の「NEC」 防衛・宇宙…
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始めた限界
  • 3
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引、インサイダー疑惑が市場に波紋
  • 4
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が…
  • 5
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 6
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐ…
  • 7
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 8
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 9
    年金は何歳からもらうのが得? 男女で違う「最適な受…
  • 10
    中国がイラン戦争最大の被害者? 習近平の誤った経…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 5
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story