コラム

カーク暗殺の直後から「極左」批判...トランプ政権が完全無視した「都合の悪い真実」とは?

2025年09月29日(月)14時12分

数日後には、バンス副大統領が「左派は政治的暴力を擁護し称賛する傾向がはるかに強い」と述べた。

このような発言は全く事実に反する。2001年以降にアメリカ国内で起きたテロによる死者の75~80%は、右派の過激派によるものだ。左派の過激派による政治的暴力の件数は全体の10~15%、全ての死者に占める割合は5%に満たない。

一方で忘れてはならないのは、21年1月にはトランプ支持派が連邦議会議事堂を襲撃し、大統領選挙の結果を覆そうとしたことだ(トランプはこの事件で起訴された支持者約1600人に恩赦を与えた)。

しかし、今回の暗殺事件について、そして社会と政治の緊張が生まれている要因について、ホワイトハウスが広めようとしている見解に異を唱えるのは、今日のアメリカでは勇気が要る。

ホワイトハウスと右派の活動家たちは事件後直ちに、対立勢力を抑圧し、トランプと右派の政策への異論を封じ込めるために、暗殺事件を利用しようと考えたようだ。

テレビの人気トーク番組の司会者であるジミー・キンメルは、この事件に関して述べたジョークを理由に、番組の放送を停止された(言論の自由を守ろうとする左右両派の人々の激しい反発により、程なく番組の放映は再開された)。

プロフィール

グレン・カール

GLENN CARLE 元CIA諜報員。約20年間にわたり世界各地での諜報・工作活動に関わり、後に米国家情報会議情報分析次官として米政府のテロ分析責任者を務めた

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