アングル:SNS規制に動く欧州諸国、ビッグテック擁する米国と緊張も
2月3日撮影。REUTERS/Dado Ruvic/Illustration/File Phot
David Latona Michel Rose Renee Maltezou
[マドリード 17日 ロイター] - 欧州各国がソーシャルメディア企業への圧力を強めている。子どもの安全を懸念する世論の高まりを受けたものだが、フェイスブックや米実業家イーロン・マスク氏のXなどの本拠地である米国の反発を招くリスクもある。
スペイン政府は17日、人工知能(AI)生成による児童性的虐待コンテンツを拡散した疑いで、ソーシャルメディアプラットフォームのX、フェイスブックを運営するメタ、TikTok(ティックトック)の捜査を検察に命じた。英国も同様の措置を取っている。
アイルランドもXのAIチャットボット「Grok(グロック )」について、個人データの処理や有害な性的画像・動画生成の可能性を巡る正式な調査を開始した。
依存症やネット上の暴力、学力低下への懸念を背景に、フランス、スペイン、ギリシャ、デンマーク、スロベニア、チェコといった欧州各国はオーストラリアに続く形で、10代のソーシャルメディア利用禁止案をここ数週間で相次ぎ提示している。また、独・英も同様の措置を検討している。
こうした各国の動きは政治的な緊急性を反映しているだけでなく、EUへの不満も示している。政治家やアドバイザー、アナリストらは、各国が単独行動に踏み切るのは、EUの対応が十分迅速でも強力でもないとみているためだと指摘している。ただ、それぞれの加盟国もEUと同じ法的・外交的・執行上のハードルに直面している。
<地政学的緊張>
2024年に施行されたEUのデジタルサービス法(DSA)の下では、主要プラットフォームが違法コンテンツや有害コンテンツを抑制できなかった場合、世界年間売上高の最大6%の罰金が科される。
しかし、実際に執行するとなると政治的に厄介だ。トランプ米大統領はこれまで、EU各国が新たなテクノロジー課税を導入したり、DSAを米企業に不利な形で適用したりした場合、関税や制裁を科すと繰り返し警告してきた。
欧州委員会(EC)は、米国のビッグテックに甘いとの批判を否定しており、17日のオンライン声明で、Xとグロックに対するものを含め複数の調査を開始していると指摘した。
声明には、 「DSAのような措置を通じて、EUは欧州のデジタルの未来を形成している。民主主義の強化をゴールとして、新技術を支援し、資金提供し、規制している」とある。
応酬が過熱する場面もあった。
マクロン仏大統領は昨年、欧州の規制に対する米国の抵抗を「地政学的戦い」と呼んだ。
トランプ政権は12月、欧州は「文明消滅の危機」に直面していると警告し、米国の目標は「欧州が現在進んでいる軌道をたどらないこと」と表明した。
スペインのブスティンドゥイ消費相は17日付の仏誌「ル・グラン・コンチナン」に対し、自国の取り締まりは「米国へのデジタル依存から脱却する」ことを目的としているとした上で、一部プラットフォームが「欧州の民主主義を内側から不安定化させるために使われている」と述べた。
<各国独自の対応も>
デンマークのデジタル化当局は、7月14日にDSAのガイドラインが修正され、各国が独自に年齢制限法を設けることが可能になったことが、同国が独自方針に動いた要因だとロイターに語った。
スペインは数カ月前から措置を検討していたが、16歳未満のSNS利用禁止や、ヘイトスピーチに対してソーシャルメディアのCEOらに責任を負わせる法律を提案する最終的な引き金となったのは、「グロック」が未成年者の同意のない性的画像を生成したことだったとレゴ青少年相は述べた。
マクロン仏大統領は、若者の暴力をあおっているとしてソーシャルメディアを批判してきたが、転機となったのは去年6月に14歳の生徒が学校補助員を刺殺した事件だった。マクロン氏は子どもの利用禁止をEU全体で進めるか、必要ならフランス単独でも実施すると述べた。
ギリシャのミツォタキス首相は、ジョナサン・ハイト氏の著書「不安な世代」を読み、スマートフォンとソーシャルメディアが子どもたちの脳を「再配線」しているとする議論に「認識を大きく揺さぶられた」と述べた。
「われわれは、子どもたちの脳を使って、これまでで最大かつ未検証の実験を行っている」





