コラム

プロの投資家はどんな本を読むのか。意外なオススメ本3冊は...

2022年09月26日(月)16時20分
藤野英人

「お金のまなびば!」より

<ひふみシリーズの最高投資責任者、藤野英人が紹介する「お金」の本は何か。ウォーレン・バフェットの本は、入っていません>

読書などの自己投資を積極的に継続する人は年収が高い傾向にあると言われる。では、プロの投資家は、普段どんな本を読んでいるのだろうか。

ひふみシリーズの最高投資責任者、藤野英人氏はレオス・キャピタルワークスのYouTubeチャンネル「お金のまなびば!」で「投資家が読んでいる『お金』の本、紹介します」と題し、おすすめの書籍を紹介している。

第3位は、『ピーター・リンチの株の法則』(ダイヤモンド社)。著者のピーター・リンチは、運用するマゼランファンドの資産を13年間で777倍にした実績を持つ伝説のファンドマネージャー。自身の体験をもとに、長期的なリターンを上げる運用哲学や投資の考え方の基礎を紹介している。

「(大学を卒業して最初の会社に)入社したばかりで、どの本を読んだらいいか分からないときに手に取った一冊。ひふみシリーズも、マゼランファンドのようなファンドを作りたいという想いで生まれた」と、藤野氏は語る。

「一般的には、ウォーレン・バフェットやジョージ・ソロスが投資家として有名。でも私にとっては、ピーター・リンチが最大のヒーローだ。会ったことはないが、この人こそ私の先生」

この本を読んで、現場で何が起きているかが非常に重要であり、会社を訪問して「いい会社」に投資することが結果的に大きなリターンを生む秘訣だと学んだという。藤野氏によれば、何冊もあるリンチの著書の中で、これが「昔からある名著」だ。

続く第2位は、『ビジネスエリートになるための教養としての投資』(ダイヤモンド社)。著者は日本を代表するファンドマネージャーの一人で、藤野氏と対談経験もある奥野一成氏。「私たち(藤野氏が経営するレオス・キャピタルワークス)からすると、ライバルであり、強敵」である人物だ。

藤野氏によると、単に投資で金持ちになるための方法を書いた本ではないという。

「投資家的な目線で、世の中のどこにチャンスがあり、リスクを取って足を踏み出すときの大切な心の持ちようが書かれている。主体的な目線で社会に参加する姿勢を持てば、日本はもっと素敵になる。そして、そういう行動をした人は結果的にお金持ちになっていると奥野さんは言っている」

親交のある藤野氏から見ると、奥野氏は投資家として良い意味で頑固な人。「経営者の良し悪しではなく、強固なビジネスモデルを持った会社が成長する」という投資ポリシーを持ち、絶対に曲げないという。

そんな奥野氏の経験をもとに、会社の「稼ぐ力」を見極め、博打やギャンブルとは全く違う投資のあり方を学べる一冊だ。

プロフィール

藤野英人

レオス・キャピタルワークス 代表取締役会長兼社長、CIO(最高投資責任者)
1966年富山県生まれ。国内・外資大手資産運用会社でファンドマネージャーを歴任後、2003年にレオス・キャピタルワークスを創業。日本の成長企業に投資する株式投資信託「ひふみ投信」シリーズを運用。投資啓発活動にも注力しており、東京理科大学MOT上席特任教授、早稲田大学政治経済学部非常勤講師、日本取引所グループ(JPX)アカデミーフェロー、一般社団法人投資信託協会理事を務める。主な著書に『投資家みたいに生きろ』(ダイヤモンド社)、『投資家が「お金」よりも大切にしていること』(星海社新書)、『さらば、GG資本主義――投資家が日本の未来を信じている理由』(光文社新書)、『「日経平均10万円」時代が来る!』(日経BP 日本経済新聞出版)など。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

リーブス英財務相、広範な増税示唆 緊縮財政は回避へ

ワールド

プーチン氏、レアアース採掘計画と中朝国境の物流施設

ビジネス

英BP、第3四半期の利益が予想を上回る 潤滑油部門

ビジネス

中国人民銀、公開市場で国債買い入れ再開 昨年12月
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    米沿岸に頻出する「海中UFO」──物理法則で説明がつかない現象を軍も警戒
  • 4
    「あなたが着ている制服を...」 乗客が客室乗務員に…
  • 5
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 6
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 7
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 8
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 9
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 10
    「白人に見えない」と言われ続けた白人女性...外見と…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 5
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 6
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 9
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 10
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story