コラム

人のデータを勝手に使うな!データ経済社会は自己管理が原則に

2015年09月16日(水)17時23分

 また同社はデータのメタ化も行う。「自分の店舗の周辺の人の流れをつかみたいという人でも、すべての人の正確な緯度経度を知りたいわけではありません。最寄り駅の人の流れがどうなっているのか、主な顧客層である20代の女性が最も多く近くの通りにくるのは何時ごろなのか。そういうレベルの情報が分かればいいだけ。そうしたレベルにデータを変換することで、プライバシーの問題も回避できる。そういう作業をメタ化、抽象化と呼んでいます」(真野氏)。

 情報の提供者、利用者ともに虚偽の登録がないか。先方は提供者、利用者としてどれくらい評判がいいのか。取り引きにはそういった情報も重要になる。そこでEverySenseでは、ソーシャルメディアでよく見かけるような口コミやレビューの仕組みも提供するのだという。

環境センサーデバイスを開発

 ファームオーナーとしてデータを提供する方法は主に4つあるという。

「1つは、デバイスが直接ネットにつながるもの。例えばウエアラブル機器なんかがそうですよね。そうしたセンサーデバイスから直接インターネット経由で提供してもらってもいい。2つ目は、スマートフォンや携帯電話のデータ。アプリなどを通じてデータを提供してもらう方法です。スマホ自体がセンサーになってますよね。歩数計とか、加速度センサーとかが搭載されています。そうしたデータを提供することができます。3つ目は事業者が持っているデータ。例えば工場や農園など、産業界ではいろんなデータを取っています。その情報を提供してもらってもいいわけです。4つ目は、自動車もそうですし、ヘルスケア系デバイスもそうですが、データがその事業者のクラウドに蓄積されるようになっている場合があります。fitbitなどの活動量計もそうですよね。このクラウド上にあるデータを、ユーザーの許諾のもとにシングルサインオンで取ってこれるようになっているのであれば、ユーザーはそれを提供することもできます」。

 またEverySenseでは、データ取り引きの仕組みだけではなく、データを提供するためのデバイスの開発にも力を入れていくという。「僕はもともと物作りの人間ですから」と真野氏が言う通り、同氏はエンジニアとしての輝かしい経歴を持っている。同氏は、1996年に世界で最初にワイヤレスIPルーターの開発に成功した Root, Inc.の創設者であり、移動IPとIPv6技術を取り入れた最初の公共Wi-LANキャリヤー会社であるモバイル・インターネット・サービス の創始者でもある。現在もIEEE 802.11 TGai のチェアを勤めている。無線LANの標準化のグループで議長を務める日本人は、真野氏が初めてだという。

 EverySenseが手がけるデバイスの1つが、自由にセンサーの追加や組み換えが可能な汎用小型環境センサーのEveryStampだ。温度や、湿度、気圧、加速度、GPSなど、さまざまなセンサーを自由に組み合わせることができる小型センサーデバイスで、こうしたセンサーデータを必要とする「レストランオーナー」との間で取り引きが成立すれば、EveryStampを机の上に置いているだけで、ちょっとした小遣い稼ぎになる。

EveryStamp Video


 EverySenseは、8月25日から日本のクラウドファンディングサービスMakuakeを通じてEveryStampの資金調達プロジェクトを始めている。このあと米国のクラウドファンディングKickstarterなどでも同様のプロジェクトを展開する考えという。

プロフィール

湯川鶴章

AI新聞編集長。米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。2017年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(2015年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(2007年)、『ネットは新聞を殺すのか』(2003年)などがある。趣味はヨガと瞑想。妻が美人なのが自慢。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

現代自、中東紛争で輸出混乱を警告 欧州・北アフリカ

ワールド

北朝鮮、イランと距離置く 紛争終結後の対米関係見据

ワールド

ウクライナの子ども連れ去り、ロシア石油・ガス大手2

ビジネス

景気判断、全9地域で据え置き=日銀地域経済報告
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
2026年4月 7日号(3/31発売)

国際基準の情報開示や多様な認証制度──本当の「持続可能性」が問われる時代へ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】イラン情勢で一躍脚光の「NEC」 防衛・宇宙の2大テーマでAI懸念を払拭できるか
  • 2
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐせ・ワースト1
  • 3
    「高市しぐさ」の問題は「媚び」だけか?...異形の「攻撃的知能」を解剖する
  • 4
    トランプ、イランに合意期限「米東部時間6日午前10時…
  • 5
    地面にくねくねと伸びる「奇妙な筋」の正体は? 飛行…
  • 6
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始め…
  • 7
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 8
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅…
  • 9
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 10
    血圧やコレステロール値より重要?死亡リスクを予測…
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始めた限界
  • 3
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引、インサイダー疑惑が市場に波紋
  • 4
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐ…
  • 5
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 6
    【銘柄】イラン情勢で一躍脚光の「NEC」 防衛・宇宙…
  • 7
    中国がイラン戦争最大の被害者? 習近平の誤った経…
  • 8
    年金は何歳からもらうのが得? 男女で違う「最適な受…
  • 9
    「高市しぐさ」の問題は「媚び」だけか?...異形の「…
  • 10
    初の女性カンタベリー大主教が就任...ウィリアム皇太…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 5
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story