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アルゼンチンと、タンゴな人々

西原なつき|アルゼンチン

何が当たるかわからない、アルゼンチンでのCOVID-19 ワクチン接種レポート

(Photo: istock / K_E_N)

長い長い外出制限を経て、現在真冬のアルゼンチンはワクチンの接種も着々と進んでいます。
7月27日現在での国内のワクチンの接種率は、国全体では1回目までの接種をした人が約51%、2回目まで接種完了している人が約13%という状況です。
ブエノスアイレス市では18歳以上の接種が始まっており、そして市街地(CABA)を除いたブエノスアイレス州では今週から12歳以上の子供たちも接種できるよう準備が進められています。


感染者も数か月前のピーク時には一日約4万人を記録していましたが、昨日の一日の感染者数は7506人、死者数137人と落ち着きました。
(・・・と書いたところで、週明け月曜日の今日、一日の感染者数12,555人、死者数384人という最新情報が入ってきて、今週増えないと良いなぁと、少し不安になっています。)


コロナウイルス検査も「少し頭が痛いから念の為ちょっと検査行ってくる」などと気軽に検査へ行けるような空気で、公民館や劇場など公共施設などの他、検査用中型車での街角検査なども実施されています。
(7月25日の一日の検査数は57,623 件、そのうち陽性反応が出た人は 13.02%と発表されていました。)



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(パンデミック前の2019年11月にこけら落としがあったばかりの、1万5千人収容可能なMovistarアリーナ。イベントなどで使われていくよりも先に検査場として稼働しています / 筆者撮影)

ワクチン接種してきました

先日、私もワクチン接種が出来る順番が回ってきたその日に、早速待機リストに登録。
私の場合は、2日後にはワッツアップ(誰もが使っているLINEのようなチャットアプリ)経由で「接種希望場所・時間を予約してください」という連絡が届きました。

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(全体的にフレンドリーな雰囲気でメッセージが届きます。)

ちなみにウイルス検査をした場合の結果も、同じようにワッツアップ経由で6時間後~に陽性・陰性のお知らせが届きます。


周りではワクチンを打ちたくない・または少し様子を見たい、という人も少なくないのですが、その理由のひとつに、どのワクチンが回ってくるか直前までわからなかったからということがありました。
※現在(7月20日~)は、どの場所にどのワクチンが準備されているかが発表されるようになりましたが、以前は予約を取り、当日会場に行ったものの希望するワクチンが回ってこなかったため接種を辞退する、というケースも多くあったようです。



アルゼンチンで現在接種されているのは、ロシア製Sputnik-V、中国製Sinopharm、アストラゼネカ製の3種類で、どれも無料です。
また先週、アメリカ合衆国から寄贈された350万回分のモデルナ製ワクチンがアルゼンチンに到着しましたが、こちらはリスクのある病気や障害を持つ12歳~17歳を対象に接種を進めていくということで、会議で最終決定が下りる予定です。


私が接種に行った場所は、私が通ったタンゴ学校の卒業記念コンサートを行った場所であり、何かとお世話になっていたサン・マルティン劇場。
現在様々な公演は行われていながら、劇場のロビーが接種会場となっており、なんとも不思議な気持ちになりました。
接種・検査場所に指定されているのは、この場所の他にも、サッカークラブ、アリーナ、また世界三大劇場である、アルゼンチンが誇るコロン劇場でさえもコロナウイルス検査場になっており、当初はコロン劇場で働く人々(音楽家やダンサーを含む)が検査場のスタッフとして働くよう市政からお達しが届くなど、一時問題になっていました。
例年ならば8月に、全世界からダンサーや観光客が訪れるブエノスアイレスの一大イベントであるタンゴ・フェスティバルのメインコンサートホールである、Usina del Arteもワクチン接種会場に指定されています。

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(サンマルティン劇場入り口 / 筆者撮影)

そして私が行った日、会場に準備されていたワクチンは中国製シノファーム。
中国製ワクチンを中心に接種が進んでも尚感染が拡大していた国があったことや、先日もあるひとつの研究所から80歳以上への効果に疑いがあるという研究報告が出たりなど、ネガティブなニュースが多いこともあり、辞退する人もいるようです。
(参考にするべき情報かはわかりませんが、現地ラ・ナシオンの記事はこちら
日々様々な現場・様々な人と関わる仕事をしている私は、自分の為にも周りの為にも、出来るだけ早くワクチンを接種したいという気持ちで接種へ向かいました。

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私を含め、周りで中国製ワクチンを接種した人のほとんどが副反応はほぼゼロでした。あっても、だるさ、軽い腕の痛みなど。
その他のものでは、アストラゼネカ製ワクチンを接種した人の副反応が重いケースが多く、寝込むことも想定して予定を組んでおいた方がいいよ、などとアドバイスが回っていました。(そのため、アストラゼネカ製の接種に当たっても副反応を危惧して辞退する人もいました。)
実際、ワクチンの副反応による体調不良を理由にキャンセルになった仕事や予定もいくつかありました。

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(劇場入り口、本来なら劇場来場者への受付となる場所です。)


ということで、私も少なくとも1回目の接種ができて少し安心していたのですが、どのワクチンであっても、接種したからといって気を抜いてはいけない、と実感したのがつい先週末のこと。


3日連続で3つの別々のプロジェクトのリハーサル・レコーディングがあったのですが、それが見事に全て、「リーダーがコロナ感染した、又は家族に感染者が出た」という理由で中止になったのです・・・。
ワクチン接種が進み活動も少しずつ再開している今、これは結構ショックなことでもありました。
接種が進んでも、これまでと同じように気を付けながら行動しなくてはならないことには変わりないな、と気を引き締めた週末であったのでした。

 

Profile

著者プロフィール
西原なつき

バンドネオン奏者。"悪魔の楽器"と呼ばれるその独特の音色に、雷に打たれたような衝撃を受け22歳で楽器を始める。2年後の2014年よりブエノスアイレス在住。同市立タンゴ学校オーケストラを卒業後、タンゴショーや様々なプロジェクトでの演奏、また作編曲家としても活動する。現地でも珍しいバンドネオン弾き語りにも挑戦するなど、アルゼンチンタンゴの真髄に近づくべく、修行中。

Webサイト:Mi bandoneon y yo

Instagram :@natsuki_nishihara

Twitter:@bandoneona

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