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スペインあれこれつまみ食い

松尾彩香|スペイン

スペインで曖昧になりつつある電車内でのマスク着用義務

©️iStock - Olezzo

日本では入国の水際対策が緩和されたということで、たくさんの外国人観光客が日本に訪れていると思います。スペインでも9月に入国に際に必要だったスペイントラベルヘルス(日本でいうMy SOSの様なもの)の提示義務が撤廃され、以前は穏やかだったマドリードの中心地は平日にも関わらず以前の様に人でごった返す様になりました。

街は一見パンデミック以前の風景を取り戻した様に見えますが、スペインでは公共交通機関や薬局、病院や老人ホームなどではマスクの着用がいまだに義務付けられており、完全にパンデミック以前の状態に戻ったわけではありません。そんな中、スペインのお茶の間を騒がせるニュースが耳に入ってきました。

 

スペイン国鉄レンフェ、行儀の悪い子供22人を降ろす

スペインの国鉄レンフェは、バルセロナからレオンに向かう長距離電車の中で他の乗客から苦情が相次いだという理由から学校の遠足で電車を利用していた9歳から11歳の子供たち22人と引率の教師2人を途中駅のパレンシアで下車させました。下車させた駅には警察を待機させていたということで、この対応は果たして正しかったのかどうかで物議を醸している様です。レンフェ側は「子供たちは車内で大声で騒いでいた上にマスクを着用していなかった」と主張しており、報告書には「生徒の態度を正すように教師に話したが、正されなかったので列車から降ろすことにした」と記されていました。しかし子供たちの保護者はこれらの対応をやりすぎだと非難し法的な対応も視野に入れているということで、レンフェはこれに対して事実関係を明らかにするために社内調査を開始すると発表しています。

このレンフェの対応に対して、国民からは「子供だから騒いで当たり前」「子供相手にやりすぎ」とレンフェ側を非難する意見がある一方で、「長距離電車でそれは辛い」「子供には他の人を尊重することを教えるべきだ。レンフェよくやった!」とレンフェの対応を支持する声も多く上がっている様です。

子供たちは下車させられたおよそ2時間後にレンフェが手配したバスで無事に目的地に向かいました。

iStock-458985777.jpg

©️iStock -anouchka

 

マドリードの地下鉄でマスク着用を巡って喧嘩

首都マドリードでは先週、マスク着用を巡って乗客2人が喧嘩を始め車内が一時騒然となる出来事がありました。居合わせた乗客が撮影したビデオには、男性と若者が「電車から降りろ!マスクなしで俺に話しかけるな!」「触るな!警察を呼ぶぞ!」と激しい口論になり、最終的には掴み合いの喧嘩に発展している様子が写っています。当事者の男性以外にも「マスク着用は義務ですよ!」と男性に注意する女性の声もビデオには写っており、マスクを着用していなかった若者はそのあと渋々マスクを着用しました。

  

新しい変異株も・・・

ヨーロッパで急激な増殖を見せているオミクロン株の変異株であるBQ.1.1。保健省は今月初旬にスペイン国内でもこのBQ.1.1が3,6%検出されたことを発表しました。しかし日本と違ってマスクをする文化のないスペイン人にとってはマスク着用というのはとても大袈裟なものであり、なるべく着用したくないのが本音。新しい株が発見されたというニュースが流れても市民はほとんど無関心で、電車内のマスク着用は義務でありながらもマスクをせずに平然と電車に乗ってくる乗客は日に日に増えている様に感じます。また、イタリアやフランスなど電車内でのマスク着用が義務でない国からの観光客は、マスクが義務付けられていることを知らずに電車に乗ってきてしまうこともあるでしょう。バスではマスクをせずに乗り込もうとする乗客に「マスクつけてください」と運転手が声をかけているのを目にしますが、電車では乗客全員に目を配ることが難しくマスク着用が曖昧になってしまっているのが現実だと思います。スペインでは最近インフルエンザも流行ってきているので、満員電車や病院ではどちらかと言えばマスクをつけていた方が安心感があるのになと感じるのはマスク慣れしている日本人の私くらいなのかもしれません。

 

Profile

著者プロフィール
松尾彩香

2015年スペイン巡礼(カミノデサンティアゴ)フランス人の道を完歩。スペイン語習得のために渡ったコロンビアでコーヒー農家になるもスペイン移住の夢が捨てられず、現在はコロンビアのコーヒー事業を継続しながらマドリードのベッドタウンでひっそりとスペインライフを満喫中。

Twitter: @maon_maon_maon

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