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匿名|ミャンマー

ミャンマー最大都市ヤンゴン中心部で爆発10人死傷の事件について

AAPP(ミャンマー政治犯支援協会)発表(6月3日)

31日午後3時半頃、ミャンマー最大都市ヤンゴンの中心部ダウンタウンのとあるバス停で爆発があり、1人が死亡、9人がけがをしたと各社が報道しました。
日本でもNHKなど各社が伝えた事件です。

今回はこの事件のニュースの正しい読み方について私なりの見解を述べたいと思います。
というのも報道各社、様々な伝え方がされていますが、誤解を与えかねない伝え方や、情報の過不足などが凄く気になりました。
これではこの事件を通して正しいミャンマーの現状が伝わらないと感じたからです。
報道各社の非難や批判はするつもりはありません、キチンとこの事件を通した現状を理解していただくため、補足として様々な伝え方に対して説明を入れていきたいと思います。


犯行を主張する声明は出ていませんが、軍の統制下にある国営テレビは爆発物を使った民主派勢力によるテロ行為だと、伝えています。

これに対し、民主派勢力の側は地元の独立系メディアに対し、民主派の犯行を装った軍の仕業だと批判しています。
NHKより引用
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220601/k10013652351000.html


補足します。
軍の統制下にある国営テレビとはつまり、検閲が厳しいというレベルで報道の自由がないというレベルでは無く、軍が良しとした情報しか出す事ができないメディアです。
つまりここが国民防衛隊(PDF)の犯行であると断定して出しています。
因みに現状は事件を捜査している警察も軍の統制下です。

これに対し、民主派勢力という誤解を招きかねない表現がされていたので正しく説明します。
2020年の総選挙により、与党となったNLDの国会議員や各少数民族の代表からなる正当な政府を掲げる、国家統一政府(NUG)が反論しているという事です。
2021年の2月1日のクーデターの時に多くの国会議員は軍により拘束されました。
この国家統一政府の方々はそれらを逃れた人々で構成されています。
独立系メディアというのはクーデター後、軍によりライセンスを剥奪されたメディアの事です。
当たり前ですが、軍の統制下の国営メディアではこのような意見は絶対に報道されません。
報道の自由がないからです。

この事件ですが、そもそも犯人がどのような目的で行った犯行なのかというのは現段階でハッキリはしていません。
更に言うと現状のミャンマーでは公平な捜査が行われて真実が明らかになることはありえない状況だと私は断定できます。

今後容疑者が出て来て、裁判で刑が確定されたとて、それは日本の捜査や裁判のそれとは根本的に異なるものだと理解してください。
軍の統制下である警察が犯人を特定し、軍の統制下である裁判所が日本の法律ではありえない手続きの上で刑を確定するという可能性は大いにあります。
もしそのような事があった時は改めてその手法に注目していただければと思います。


さて、国家統一政府(NUG)はこうも声明を出しています。
軍の残虐行為から国民を守るべく行動規範に則り防衛線を展開している。
軍の機能を麻痺させることが目的。
市民を標的にする行為を断固非難する。

防衛線とは昨年9月に国家統一政府(NUG)から出された宣言にあるものです。
詳しくはこちらの記事でご覧ください。
ミャンマーD-day蜂起によせて

ここでハッキリしているのは犯人がどのようなつもりで今回の犯行に及んだのかはわからないが、このような行為は許されるものではないと国家統一政府(NUG)は言っているという事です。
それに対して軍はこれは国家統一政府下にある、国民防衛隊(PDF)という組織の犯行だと断定しています。

因みに軍はこれまで1887人の一般人を殺害し、13959人を政治犯などとして不当に拘束しています。
これはAAPP(ミャンマー政治犯支援協会)というところが発表している数字で、世界中のメディアが参考にしているものです。
実際にはこの限りではない犠牲者がいると言われています。

2.jpg

この犠牲者の中には軍とPDFなどの戦闘で犠牲になった人は含まれていません。
また、地方などで被害がハッキリと確認できない一般人の情報も含まれていません。
あくまで精査できている一般人の犠牲者だけの数でこれだけの人数が出ているという事です。

因みに、ヤンゴンPDFというところから犯行声明が出ているという情報が一部ありますが、多くの国民がこれは明らかにフェイクだという意見です。
以前もテロの犯行声明に使われた出どころ不明の犯行声明にこのヤンゴンPDFというのがありました。
少なくとも今回の事件において、日本の報道各社ではこの犯行声明の事は取り上げていません。
それどころか各社「犯行声明は出ていない」と報道しています。

双方とも事件への関与を否定していると報道しているところもありました。
正しくは、軍がNUG下の組織PDFの犯行だと断定しているのに対し、NUGはまともな証拠もないのに断定できるはずがないと真っ向から否定しているという図式だと私は理解しています。

お互いが罪の擦り付け合いをしているかのような誤解は与えて欲しくないなと思っています。
今後この事件がどのように動いていくのかはわかりませんが、今回の事件の報道については思うところがありましたのであくまで私個人の考えを基に皆さんには正しくニュースを読み解いて欲しいと思い記事に致しました。

このニュースはミャンマーの人々の中ではどのようにとらえられているか?
これもあくまで私の所感として受け取っていただきたいとのですが、この事件一つを最重要な案件と捉えている人は少ないのではないかと考えています。
実際事件直後こそ現場は騒然としていたようですが、次の日には何事もなかったように現場では日常生活が営われていたようです。

勿論事件に巻き込まれた関係者の方々への哀悼の気持ちは多くの方が持たれたとは思います。
ですが、クーデター以降の犠牲者はこの事件に限った事ではありません。
この瞬間でもミャンマーのどこかでは軍が一般人を殺めていることを多くの国民は知っているからです。
そんな状況下でも普段の生活を行えるものはできるだけ行うべきだという考えが国民の中で広がっているのだと私は感じています。

それぞれの人がそれぞれ自分ができる事を精一杯やろうとしている結果、場所によっては平和な日常に見えるところもあるという現状なのです。
今回の事件でそんな街中でも一歩間違えば犠牲者が出てしまいかねないというのが今のミャンマーです。
今回犠牲者がミャンマー人だけだったのはたまたまだと思います。
事実、日本人を含めたミャンマー在住の外国人からも事件の近くに居合わせたという情報が出ています。

それだけ一般的に色んな人々が行きかう道で今回の事件が起こったのです。

いかがだったでしょうか?
珍しくミャンマーの事がそれなりに大きく取り上げられるニュースがこのような事で非常に残念ではありますが、だからこそ少しでも間違った方向に理解が進まないようにと今回の記事を書きました。


引き続きミャンマーの現状を正しくしっていただき、可能な支援を続けていただければ幸いです。

 

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