コラム

反・一帯一路──パキスタン南西部バルチスタン州における「反中テロ」の最前線

2025年06月18日(水)10時21分
反・一帯一路──パキスタン・バルチスタンにおける「反中テロ」の最前線

zmotions -shutterstock-

<パキスタンで「一帯一路」構想が進む中、それに対する強い反発をテロという極端な手段で示すのが、バルチスタン解放軍(BLA)だ。「反中テロ」の連鎖が止まらない>

日本国内ではその多くが報道されないが、パキスタンでは長年、中国人や中国の権益を標的としたテロが頻発している。特に、中国が推進する「一帯一路」構想の一環である中国・パキスタン経済回廊(CPEC)に関連するプロジェクトが進展する中、バルチスタン解放軍(BLA)による攻撃が目立っている。

BLAは南西部バルチスタン州のパキスタンからの独立を掲げる武装集団であり、中国の経済進出を「資源の搾取」や「支配」とみなして、CPEC関連施設や中国人を攻撃対象としている。これらのテロ行為は単なる暴力に留まらず、地元住民の不満を煽り、パキスタン政府と中国の緊密な関係に亀裂を生じさせる戦略的意図を伴っている


断続的に続く「反中国」テロ

2024年10月、カラチのジンナー国際空港近くで、電力会社関係の中国人技術者や投資家を乗せた車列が自爆攻撃を受け、中国人2人を含む3人が死亡、17人以上が負傷した。BLAは直ちに犯行を認め、中国人を意図的に狙ったと主張し、CPECを「バルチスタンの収奪」と批判した。

この事件は、上海協力機構(SCO)首脳会議開催の直前に発生し、パキスタンの治安問題を国際的に浮き彫りにし、CPECの安全性への疑念を投げかけた。2024年3月には、北西部ベシャムでダム建設現場に向かう中国人技術者の車が自爆テロにより谷に転落し、5人が死亡した。

プロフィール

和田 大樹

CEO, Strategic Intelligence Inc. / 代表取締役社長
専門分野は国際安全保障論、国際テロリズム論、経済安全保障、地政学リスクなど。海外研究機関や国内の大学で特任教授や非常勤講師を兼務。また、国内外の企業に対して地政学リスク分野で情報提供を行うインテリジェンス会社の代表を務める。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

加ルルレモン、通期業績見通しが予想下回る 米関税影

ワールド

ベネズエラ野党指導者マチャド氏、セラウィーク出席へ

ワールド

イラク政府とクルド人自治区、パイプライン経由の原油

ワールド

仏独首脳、危機に瀕する戦闘機開発計画巡り協議へ=関
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:イラン革命防衛隊
特集:イラン革命防衛隊
2026年3月24日号(3/17発売)

イスラム神権国家を裏からコントロールする謎の軍隊の歴史と知られざる実力

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    住宅建設予定地に眠っていた「大量の埋蔵金」...現在の価値でどれくらい? 誰が何のために埋めた?
  • 3
    「ネタニヤフの指が6本」はなぜ死亡説につながったのか?
  • 4
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 5
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 6
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 7
    「危険な距離まで...」豪ヘリに中国海軍ヘリが異常接…
  • 8
    ガソリン価格はどこまで上がるのか? 専門家が語る…
  • 9
    「目のやり場に困る...」グウィネス・パルトロウの「…
  • 10
    戦争反対から一変...湾岸諸国が望む「イランの脅威」…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 3
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製をモデルにした米国製ドローンを投入
  • 4
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 5
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 6
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 7
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 8
    住宅建設予定地に眠っていた「大量の埋蔵金」...現在…
  • 9
    ショーン・ペンは黙らない――「ウクライナへの裏切り…
  • 10
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 6
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story