コラム

日本は戦争で荒廃したイランの後に続くのか

2025年07月16日(水)17時43分
石野シャハラン(異文化コミュニケーションアドバイザー)
イラン、テヘラン、インフレ、空爆、爆撃、アメリカ、イスラエル、参院選、革命防衛隊

在日米国大使館近くで米軍のイラン攻撃に抗議する団体(6月22日) ISSEI KATO-REUTERS

<イラン人は戦争も、物資不足やインフレによる経済の混乱も、すっかり慣れている。だが国民の心が国から離れ、見放された国はいつでも転げ落ちる。日本はどうだ?>

私の祖国がイスラエルとアメリカからミサイル攻撃や空爆を受けた。今回は、政権内部でもなく軍事組織・革命防衛隊やそのシンパでもない一般のイラン市民がどう感じ、どう対処しているか書いてみたいと思う。

私も今回の攻撃には心が痛む。私の兄弟や親戚はイランにいるので心配だし、来日前の若い頃に何年も勤務していた国営放送局がミサイルで破壊された映像を見ると、自分の思い出も粉々になったような悲しい気持ちになる。だが、大きなショックを受けているかというと、それほどでもない。実際に日本人の家族や友達は、あまり取り乱さない私の様子に驚くようだ。


これは私だけに限らない。日本やその他の国に住むイラン人だけでなく、イラン国内の市民の反応も多かれ少なかれ、同じようなものだ。ひどくショックを受けているわけでも、悲嘆に暮れているわけでも、怒りでわなわな震えているわけでもない。今回の攻撃理由が納得できるものでなくても、イラン人の多くは事態を受け入れている。

第1にイラン人は、イスラエルやアメリカとの対立にすっかり慣れている。外国との対立だけではない、イスラム革命からイラン・イラク戦争、経済制裁による物不足、インフレによる経済の混乱。もう約50年間ずっと混乱状態であるし、今回のような攻撃はいつか起きるものだと誰もが予想していた。

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