最新記事
日本社会

「けしからん」の応酬が参政党躍進の主因に? 既成政党・メディアが受け止めるべきだった「寂しさ」とは

2025年7月7日(月)14時25分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
三浦瑠麗氏、倉本圭造氏

鼎談動画に出演した三浦瑠麗氏、倉本圭造氏(6月24日収録) ニューズウィーク日本版-YouTube

<対話よりも対決、理解よりも論破──日本中に蔓延する「論破という病」が、陰謀論の広がりやポピュリズムが勢いを増すきっかけになっているかもしれない。経営コンサルタント・経済思想家の倉本圭造氏、国際政治学者の三浦瑠麗氏とともに深掘りする>

「敵が全部悪い」「けしからん」──ネット空間を中心に、立場や意見の違いに端を発した罵倒合戦が日々繰り広げられている。

なぜ我々は建設的な対話を失い、互いを排斥し合うようになったのか。そして、「陰謀論」が社会に浸透し、「ポピュリズム」が勢いを増す背景には何があるのか。

経営コンサルタント・経済思想家の倉本圭造氏、国際政治学者の三浦瑠麗氏を迎え、現代社会の根深い病理を多角的に分析する鼎談が実現した。

『論破という病』(中公新書ラクレ)の著者である倉本氏は、日本中に蔓延する「論破」の風潮が、健全な対話をいかに不可能にしているかを看破する。本来、複雑な問題を解決するためには多様な意見のすり合わせが必要であるにもかかわらず、SNSでは「けしからん」という感情的な非難や、短絡的な「正しさ」の主張ばかりが横行する現状を厳しく指摘した。

三浦氏は、SNSやネットニュースが発言の一部を意図的に切り取り、炎上やバズを引き起こすことで、論壇やメディア出演者の振る舞いを変えてきたと指摘する。こうした変化が、社会全体の思考を浅くしていると警鐘を鳴らす。

対談はさらに、社会の深層へと踏み込んでいく。倉本氏は、グローバルな合理性を追求する「水の世界」と、コミュニティや独自性を重視する「油の世界」との間の分断が、現代社会のあらゆる問題の根源にあると説く。この断絶が、「陰謀論」のような単純な物語への傾倒を招き、複雑な現実から目を背ける原因となっているという。

6月の東京都議選で躍進した参政党の存在についても、この文脈で語られた(これは動画の抜粋記事です。詳しくは動画をご覧ください)。

日本企業
タイミーが仕掛ける「一次産業革命」とは? 農家の「攻めの経営」を後押しするスキマバイトの可能性
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

日銀、政策正常化は極めて慎重に プラス金利への反応

ビジネス

ECB、過度な調整不要 インフレ目標近辺なら=オー

ワールド

プーチン氏とブダペストで会談へ、トランプ氏が電話会

ビジネス

中国経済、産業政策から消費拡大策に移行を=IMF高
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口減少を補うか
  • 2
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ海で「中国J-16」 vs 「ステルス機」
  • 3
    間取り図に「謎の空間」...封印されたスペースの正体は?
  • 4
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 5
    【クイズ】サッカー男子日本代表...FIFAランキングの…
  • 6
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 7
    イーロン・マスク、新構想「Macrohard」でマイクロソ…
  • 8
    疲れたとき「心身ともにゆっくり休む」は逆効果?...…
  • 9
    ホワイトカラーの62%が「ブルーカラーに転職」を検討…
  • 10
    「欧州最大の企業」がデンマークで生まれたワケ...奇…
  • 1
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな飼い主との「イケイケなダンス」姿に涙と感動の声
  • 2
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 3
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 4
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 5
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ…
  • 6
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 7
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 8
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 9
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 10
    「中国のビットコイン女王」が英国で有罪...押収され…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 4
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 5
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 6
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 7
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 8
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 9
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 10
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中