日本企業が欲しいのは結局、「自分で考える人」か「上司の意をくむ人」か
「皆さんが60年後、ビジネス人生が終わりに近づく、あるいは終わるときに素晴らしい人になり、素晴らしい習慣を持っている、これができたら間違いなく幸せな人生になるのではないか」というような話を社長がしたとき、私は目の前の新入社員を見て、ちょっと暗い気持ちになった。今日から彼らの人生は「仕事を中心にしないといけない60年間になる」と言われたようなものだからだ。
日本の大企業の多くの経営者は60~70代だ。新入社員の親世代より年を取っているだけに、社会や人生に対する価値観、考え方が若者とは異なる。人生で大切なことは仕事での成功や成長に限らない。入社式という場でももっと幅広い人生の意味を語ることが望ましいのではないか。
ただ、私はフランス人女性だからそう思ったのかもしれない。長い経験のある成功した経営者のほうが新入社員に何を言えばいいかを知っていることを否定するつもりはない。
西村カリン
KARYN NISHIMURA
1970年フランス生まれ。パリ第8大学で学び、ラジオ局などを経て1997年に来日。AFP通信東京特派員となり、現在はフリージャーナリストとして活動。著書に『不便でも気にしないフランス人、便利なのに不安な日本人』など。
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