戦争をリアルにイメージできない「幸運」な日本に、イラン出身者が伝えたいこと
日本人にも、いつでも国のために戦う! と威勢のいいことを言う人がいる。だがそういう人に限って、自衛隊や警察に所属したこともなく、銃の扱い方一つも知らない。私の以前の職場でも「いつでも戦争してやるぜ」と言い放った人がいて、私はつい「あなたに戦争の何が分かるんだ、軽々しく言うんじゃない」と怒鳴ってしまい、職場をシーンとさせてしまったことがある。
だが、70年以上の長きにわたって平和を享受してきた日本人には、人生の夢や目標があっても有無を言わさず戦いに動員され、個人的には何の恨みもない敵と撃ち合って殺されてしまう理不尽さが理解できなくて当然である。理解できないこと自体がとても幸せなことであるとも思う。
ただそれでも、日本人がもっと心に留めたほうがいいと思うことがある。平和であることは当たり前ではない、得難い幸運で素晴らしいことであり、日々平和であることに感謝し、平和を維持するために努力しなければならない、ということだ。
平和は日本人が思うよりもずっともろいものであり、ほんの小さな選択の誤りや不運によって瞬く間に消え去ってしまうものなのだから。
石野シャハラン
SHAHRAN ISHINO
1980年イラン・テヘラン生まれ。2002年に留学のため来日。2015年日本国籍取得。異文化コミュニケーションアドバイザー。
YouTube:「イラン出身シャハランの『言いたい放題』」
Twitter:@IshinoShahran
アマゾンに飛びます
2025年12月16日号(12月9日発売)は「ジョン・レノン暗殺の真実」特集。衝撃の事件から45年、暗殺犯が日本人ジャーナリストに語った「真相」 文・青木冨貴子
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら
大成功の東京デフリンピックが、日本人をこう変えた 2025.12.13
日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い 2025.12.07
死刑は「やむを得ない」と言う人は、おそらく本当の意味を考えていない 2025.12.06
高市首相「台湾有事」発言の重大さを分かってほしい 2025.12.03
文化の「魔改造」が得意な日本人は、外国人問題を乗り越えられる 2025.11.13
外国人投資家の不動産爆買いに迷惑しているのは日本人だけではない 2025.10.23
報じられなかった中国人の「美談」 2025.10.22






