戦争をリアルにイメージできない「幸運」な日本に、イラン出身者が伝えたいこと
日本人にも、いつでも国のために戦う! と威勢のいいことを言う人がいる。だがそういう人に限って、自衛隊や警察に所属したこともなく、銃の扱い方一つも知らない。私の以前の職場でも「いつでも戦争してやるぜ」と言い放った人がいて、私はつい「あなたに戦争の何が分かるんだ、軽々しく言うんじゃない」と怒鳴ってしまい、職場をシーンとさせてしまったことがある。
だが、70年以上の長きにわたって平和を享受してきた日本人には、人生の夢や目標があっても有無を言わさず戦いに動員され、個人的には何の恨みもない敵と撃ち合って殺されてしまう理不尽さが理解できなくて当然である。理解できないこと自体がとても幸せなことであるとも思う。
ただそれでも、日本人がもっと心に留めたほうがいいと思うことがある。平和であることは当たり前ではない、得難い幸運で素晴らしいことであり、日々平和であることに感謝し、平和を維持するために努力しなければならない、ということだ。
平和は日本人が思うよりもずっともろいものであり、ほんの小さな選択の誤りや不運によって瞬く間に消え去ってしまうものなのだから。
石野シャハラン
SHAHRAN ISHINO
1980年イラン・テヘラン生まれ。2002年に留学のため来日。2015年日本国籍取得。異文化コミュニケーションアドバイザー。
YouTube:「イラン出身シャハランの『言いたい放題』」
Twitter:@IshinoShahran
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