最新記事

ウクライナ

怒れるウクライナ市民たちが丸腰でロシア戦車に立ち向かっている

2022年3月4日(金)12時10分
青葉やまと

ロシアの軍用車両に立ち向かうウクライナ各地の人々  YouTube

<ウクライナ各地で住民が団結。武器を一切使うことなく、道路封鎖によってロシアの軍用車両・戦車の進行を妨げている>

国土を兵力でじゅうりんするロシア軍に、ウクライナ市民が命懸けでノーを突きつけている。制圧のため主要都市へ向かう軍関連車両の車列を、非武装の市民らが人間の壁となって阻んだ。

南東部メリトポリの町では町に踏み入った軍用車の隊列を、十数人の丸腰の住民らが取り囲んだ。人々は車両の前に立ちはだかり、「侵略者!」「殺人者!」の大合唱でロシア軍の立ち入りを拒んだ。

この様子を収めた動画では、苛立った先頭車両の兵士の一人が車外に降り、空に向けて威嚇射撃を繰り返す様子を確認できる。人々は一瞬たじろいだ様子をみせるものの、次の瞬間には怒気を取り戻し、道路の封鎖を解くことはない。

兵士は諦め顔で車内に戻りサイレンを響かせるが、市民の怒りのシュプレヒコールにかき消されるばかりだ。後方から別の軍車両が市民の壁に迫ると、人々は車体を素手で押し返し、五角のせめぎ合いをみせた。一時は車両をジリジリと後退させている。

英『 i 』紙は、動画では「ウクライナ人たちが手で軍の車両を押し返し、一人は地面に横たわって道を阻んでいる様子を確認できる」と指摘している。動画8秒ごろ、画面奥の車両前で地面に寝そべり、身を挺して侵攻を阻害している姿がみられる。

米ウォール・ストリート・ジャーナル紙のマシュー・ラックスムーア記者は自身のTwitterでこの映像を取り上げ、市民が車列を阻む「驚異的な映像」だと述べた。


北部チェルニヒウの町では、住民が戦車を相手に立ちはだかった。この戦車は方向を見失い、住民に道を尋ねたと報じられている。英イブニング・スタンダード紙は、非武装の市民たちによる「英雄的な瞬間」だと報じた。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

エヌビディア決算に注目、AI業界の試金石に=今週の

ビジネス

FRB、9月利下げ判断にさらなるデータ必要=セント

ワールド

米、シカゴへ州兵数千人9月動員も 国防総省が計画策

ワールド

ロシア・クルスク原発で一時火災、ウクライナ無人機攻
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
2025年8月26日号(8/19発売)

中国の圧力とアメリカの「変心」に危機感。東アジア最大のリスクを考える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 2
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋肉は「神経の従者」だった
  • 3
    【写真特集】「世界最大の湖」カスピ海が縮んでいく 砂漠化する地域も 
  • 4
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 5
    一体なぜ? 66年前に死んだ「兄の遺体」が南極大陸で…
  • 6
    『ジョン・ウィック』はただのアクション映画ではな…
  • 7
    顔面が「異様な突起」に覆われたリス...「触手の生え…
  • 8
    中国で「妊娠ロボット」発売か――妊娠期間も含め「自…
  • 9
    これぞ「天才の発想」...スーツケース片手に長い階段…
  • 10
    【独占】高橋一生が「台湾有事」題材のドラマ『零日…
  • 1
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 2
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに感染、最悪の場合死亡も
  • 3
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人」だった...母親によるビフォーアフター画像にSNS驚愕
  • 4
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家の…
  • 5
    中国で「妊娠ロボット」発売か――妊娠期間も含め「自…
  • 6
    20代で「統合失調症」と診断された女性...「自分は精…
  • 7
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋…
  • 8
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 9
    「このクマ、絶対爆笑してる」水槽の前に立つ女の子…
  • 10
    3本足の「親友」を優しく見守る姿が泣ける!ラブラ…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 7
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 10
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中