「五輪で感動」を押し付ける日本のスポーツ界に、外国人が感じる「不思議さ」
だが、本来五輪は見る者の「感動」のためではなく、この日のためにトレーニングを重ねてライバルや記録や自分に勝つために競技に出る選手たちのものである。1年も延期されたのだから、できることならば万全の感染対策をした上で競技ができる環境を整えてあげてほしい、というのは真のスポーツファンに共通する願いであろうし、同時に不自由な日本滞在を強いられる選手たちへの心遣いもあっていいはずだ。
だって日本はおもてなしの国なのだから。
しかし、実際は海外から来る選手たちを、コロナを持ち込む厄介者扱いしているようにも見受けられて、残念だ。コロナ禍でも大会を開催するならば、水も漏らさぬくらいの感染対策をし、参加各国の賛同を取り付け、科学的データに基づいたポジティブなメッセージで世界のマスコミや世論を黙らせる。
そういう日本を見てみたい。そしてこの大会が、お仕着せの「感動」を受け入れない、観戦を楽しむ目の肥えたファンが増えるきっかけになるといい。
石野シャハラン
SHAHRAN ISHINO
1980年イラン・テヘラン生まれ。2002年に留学のため来日。2015年日本国籍取得。異文化コミュニケーションアドバイザー。シャハランコンサルティング代表。YouTube:「イラン出身シャハランの『言いたい放題』」
Twitter:@IshinoShahran

アマゾンに飛びます
2025年7月8日号(7月1日発売)は「トランプvsイラン」特集。「平和主義者」の大統領がなぜ? イラン核施設への攻撃で中東と世界はこう変わる
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら
突出した知的能力や創造性を持つ「ギフテッド」を埋没させるな 2025.06.28
在日外国人は米に困っていないし、「令和のコメ騒動」に無関心 2025.06.16
大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ 2025.06.10
コメ価格高騰で放映される連続ドラマ『進次郎の備蓄米』にうんざり 2025.06.07
誕生日は「文化の鏡」である...「ミニフェスのような誕生会」から見えた「個人」と「社会」 2025.06.06
日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先 2025.05.16
日本の「治安神話」崩壊...犯罪増加と「生き甲斐」ブームの関係 2025.05.07