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「平和の国」がいま武装する理由──デンマーク首相フレデリクセン、激動の世界を語る【本誌独占インタビュー】

CAUGHT IN THE CROSSFIRE

2025年7月3日(木)15時26分
マシュー・トステビン(本誌シニアエディター)

「一つの時代が終わったのだろう。より不確実で不安定で、危険な時代がいま始まっている。それでも答えは変わらない。民主主義が勝たなくてはならない。そして、全ての国が国連憲章を守らなければならない。原則は変わらない」

デンマークはNATOとEUの加盟国の中でも小国で、人口は約600万人。小さいながらもこれら2つの同盟で柱の1つとなってきたが、時にはヨーロッパに絡む問題で独自路線を取ることもあった。例えばユーロの導入を拒否し、自国通貨のクローネを維持している。


フレデリクセンの支持率は、ヨーロッパの基準では比較的安定している。彼女は世論調査会社ユーガブの3月の調査で、ヨーロッパで「最も不人気ではない」指導者と評された。

世界最強の指導者を相手に

社会民主党の党首であるフレデリクセンは厳格な移民政策を取っており、それが極右勢力への支持拡大を防ぐことにつながっている。国民からは「お母さん」とも呼ばれているが、その理由の1つはコロナ禍に国をまとめた手腕だった。

世界最強の指導者との間でグリーンランドをめぐる対立がここまで激化したことは、全く予想外だった。「私はこの問題の火消しに努めている」と、彼女は言う。

「今の世界には非常に攻撃的なロシアがいて、イランや北朝鮮とロシアの連携が進み、中国がそれを支援している。だからこそ同盟国やよき友人、パートナー同士の関係で問題が起きないように、できる限りのことをするつもりだ。でも同時に、最も重要な価値観と原則は守り抜かなければならない」

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