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「22歳のド素人」がテロ対策トップに...アメリカが「本土テロ」に本気で備えるべき理由

ALL CONFLICT IS GLOBAL

2025年7月2日(水)14時28分
コリン・クラーク(ソウファン・グループ研究責任者)、クリストファー・コスタ(国際スパイ博物館事務局長)

大きな歴史的前例がある。1914年、オーストリア大公がテロ組織の一員に暗殺されたサラエボ事件は、第1次大戦にエスカレートした。

だが当時と違って、21世紀のNATOは、ウクライナ侵攻をめぐってロシアとの全面衝突に無自覚に突き進んではいない。むしろ、そうなることをはっきりと恐れている。

ただし、ロシアにどう対応するかは喫緊の課題のままだ。NATOやアメリカの動き次第で、今世紀の世界秩序の在り方が決定されかねない。

全ての紛争はグローバル

欧州には、加速するハイブリッド攻撃の一環として破壊工作やサイバー攻撃の脅威が広がっている。欧米に国家支援型テロの脅威をもたらしているのはイランのような国だけでなく、ロシアも同様だ。

ロシア政府の指示の下、国家の支援を受けたテロで、NATOの貨物輸送機などが撃墜されたら? 戦争拡大はほぼ必至で、多くの欧州諸国がそうした事態を懸念している。

アメリカは現在、幅広いテロの脅威に直面している。アルカイダや過激派組織「イスラム国」(IS)の中核組織は崩壊したが、その分派は今も強力だ。アメリカの国土を攻撃する意志と能力を持つとみられる国際テロ組織は数多い。

とりわけ、アルカイダ分派の脅威は根強い。移民関税執行局(ICE)が5月、ペンシルベニア州で拘束したタジキスタン出身でロシア国籍の人物が、アルカイダの現役(または元)メンバーだったのがいい例だ。

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