最新記事
安全保障

「22歳のド素人」がテロ対策トップに...アメリカが「本土テロ」に本気で備えるべき理由

ALL CONFLICT IS GLOBAL

2025年7月2日(水)14時28分
コリン・クラーク(ソウファン・グループ研究責任者)、クリストファー・コスタ(国際スパイ博物館事務局長)

米国内ではISの関係者や支持者の逮捕が続いている。4月にはアフガニスタンからの移民男性が、ISの名の下で昨年の米大統領選当日に計画されたテロに関与した容疑を認めた。5月には、元ミシガン州陸軍州兵がISのために米軍基地攻撃を計画したとして逮捕された。

これらの攻撃は未然に阻止されたが、米主要都市でのテロで民間人多数が死傷したら、どうなるか。ある国家の支援を受けたテロだと判明すれば、開戦につながりかねない。考えたくないシナリオだが、9.11テロが起きたのはまさにそうした想像力の欠如のせいだった。

米政界では「全ての政治はローカルだ」と言われる。この格言を現代にアップデートするなら、「全ての紛争はグローバルだ」になるだろう。

特に情報技術やリアルタイム通信の発展と相まって、グローバル化は戦闘空間の縮小という悪影響をもたらしている。その結果、不可避的に紛争は国境を超え、しばしばテロという形で表現される。

不吉な非通常型の脅威も水面下で広がる。顕著な例はおそらく、中国人2人が6月初旬、農業テロの兵器になりかねない病原菌を米国内に持ち込んだ容疑で起訴された事件だ。

新たなテクノロジーによって、テロリスト予備軍のハードルは低くなっている。ドローン(無人機)や仮想通貨、AI(人工知能)などのツールによって力を増した暴力的な非国家主体が、意図せずにグローバル戦争を引き起こすこともあり得る。

2年近くに及ぶイランとイスラエルの紛争の契機はテロ攻撃だった。戦略を練り、資源を適切に配分すべきテロ対策は、テロが起きてからでは間に合わない。米政権の「大国間競争」方針の一環として、戦略レベルで組み込まれるべきだ。

Foreign Policy logo From Foreign Policy Magazine

ニューズウィーク日本版 台湾有事 そのとき世界は、日本は
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年8月26日号(8月19日発売)は「台湾有事 そのとき世界は、日本は」特集。中国の圧力とアメリカの「変心」に強まる台湾の危機感。東アジア最大のリスクを考える

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

エヌビディア決算に注目、AI業界の試金石に=今週の

ビジネス

FRB、9月利下げ判断にさらなるデータ必要=セント

ワールド

米、シカゴへ州兵数千人9月動員も 国防総省が計画策

ワールド

ロシア・クルスク原発で一時火災、ウクライナ無人機攻
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
2025年8月26日号(8/19発売)

中国の圧力とアメリカの「変心」に危機感。東アジア最大のリスクを考える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋肉は「神経の従者」だった
  • 2
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット民が「塩素かぶれ」じゃないと見抜いたワケ
  • 3
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」の正体...医師が回答した「人獣共通感染症」とは
  • 4
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密…
  • 5
    顔面が「異様な突起」に覆われたリス...「触手の生え…
  • 6
    【写真特集】「世界最大の湖」カスピ海が縮んでいく…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    株価12倍の大勝利...「祖父の七光り」ではなかった、…
  • 9
    中国で「妊娠ロボット」発売か――妊娠期間も含め「自…
  • 10
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 1
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 2
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに感染、最悪の場合死亡も
  • 3
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人」だった...母親によるビフォーアフター画像にSNS驚愕
  • 4
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家の…
  • 5
    中国で「妊娠ロボット」発売か――妊娠期間も含め「自…
  • 6
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋…
  • 7
    20代で「統合失調症」と診断された女性...「自分は精…
  • 8
    「このクマ、絶対爆笑してる」水槽の前に立つ女の子…
  • 9
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 10
    3本足の「親友」を優しく見守る姿が泣ける!ラブラ…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 7
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 10
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中