最新記事
安全保障

「22歳のド素人」がテロ対策トップに...アメリカが「本土テロ」に本気で備えるべき理由

ALL CONFLICT IS GLOBAL

2025年7月2日(水)14時28分
コリン・クラーク(ソウファン・グループ研究責任者)、クリストファー・コスタ(国際スパイ博物館事務局長)

アメリカ国土安全保障省テロ対策部門を率いるトマス・ファゲイト

国土安全保障省テロ対策部門を率いるトマス・ファゲイト U.S. DEPARTMENT OF HOMELAND SECURITY VIA LINKEDIN

そんななか、国土安全保障省のテロ対策部門トップに先頃、任命された22歳のトマス・ファゲイトは1年前に大学を卒業したばかりで、対テロ活動の素人だ。脅威の度合いと、対策に割り当てられた資源の不均衡はありありとしている。

米政権中枢では「大国間競争」への転換が支配的な流れになっている。だが大国間競争とテロ対策は相互排他的ではないことを、アメリカの政治家や当局者は認識できていない。

テロの本質は「戦術」だから、テロリストやテロ組織は現代国際政治の一部だ。

アメリカが西アフリカや中央アジアの駐留米軍を縮小・撤退し、大国間競争に専念するというのは理屈が通らない。こうした地域こそ大国間競争の舞台であり、武装組織の脅威にさらされているのだから。それにもかかわらず、対テロ分野の人員や資金は大幅に削減されている。

暴力的な非国家主体と従来型の国家間戦争を隔てる壁も、堅固でなくなっている。テロ攻撃が2国家間の全面戦争に発展しかける事態は、この2年間で2回発生した。

2023年10月7日、イスラム組織ハマスが行ったイスラエルへの越境攻撃は、イスラエルとイランの代理組織ネットワークの終わりの見えない戦いの火ぶたを切った。

今年4月には、係争地カシミール地方でテロ事件が発生し、どちらも核保有国であるインドとパキスタンを大規模衝突の瀬戸際に追いやった。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

中国、レアアース輸出ライセンス合理化に取り組んでい

ワールド

ADBと世銀、新協調融資モデルで太平洋諸島プロジェ

ワールド

アングル:好調スタートの米年末商戦、水面下で消費揺

ワールド

トルコ、ロ・ウにエネインフラの安全確保要請 黒海で
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 2
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与し、名誉ある「キーパー」に任命された日本人
  • 3
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇気」
  • 4
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国…
  • 5
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 6
    【クイズ】日本で2番目に「ホタテの漁獲量」が多い県…
  • 7
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 8
    台湾に最も近い在日米軍嘉手納基地で滑走路の迅速復…
  • 9
    高市首相「台湾有事」発言の重大さを分かってほしい
  • 10
    見えないと思った? ウィリアム皇太子夫妻、「車内の…
  • 1
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 4
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 5
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 6
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 7
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 8
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 9
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 10
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 4
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 5
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中