最新記事
ウクライナ戦争

ウクライナ、黒海艦隊の拠点セバストポリで大きな戦果

Russian Navy Just Had Its Worst Day Since Ukraine Sunk Moskva Flagship

2023年9月14日(木)19時13分
デービッド・ブレナン

9月13日未明、ウクライナ軍の攻撃を受けて炎上した軍港で要衝のセバストポリ  The Telegraph/YouTube

<海軍力ではるかに劣るウクライナがミサイルと水上ドローンで黒海艦隊の拠点で要衝の軍港セバストポリを猛攻>

【動画】ロシア巡洋艦「モスクワ」の「最期」

ロシアが支配下に置くウクライナ南部クリミア半島の軍港セバストポリで9月13日未明、大規模な爆発が起き、港湾施設は激しい炎に包まれた。ウクライナの巡航ミサイルと水上ドローン(無人艇)が、この地域におけるロシア軍の中枢を直撃。ロシアが誇る黒海艦隊に、海軍力ではるかに劣るウクライナ軍がまたしても大打撃を与えた。

ロシア国防省は、巡航ミサイル10発と3隻の無人艇の攻撃を受けたが、ミサイル7発を撃墜し、無人艇は3隻とも破壊したと発表した。攻撃の模様をとらえた写真と動画から、セバストポリの乾ドックエリアは炎に包まれ、修理中だったロプーチャ級大型揚陸艦「ミンスク」とキロ級攻撃型潜水艦「ロストフ・ナ・ドヌ」が深刻な損傷を受けたとみられる。

ウクライナのニュースサイトStrana.uaによると、ウクライナ空軍のミコラ・オレシチュク司令官は戦闘機の作戦参加を示唆し、「輝かしい戦績を上げた空軍パイロットに感謝する。攻撃は続く......」とのメッセージを発表した。

ウクライナの有力紙キーウ・ポストも、ウクライナ国防省情報総局(GUR)筋の匿名のコメントとして、「少なくとも大型揚陸艦1隻と潜水艦1隻を破壊したとの情報がある。もちろん非常に大きな戦果だ」と伝えた。

黒海の制海権を取り戻す

ロシア政府に任命されたセバストポリ知事のミハイル・ラズボザエフは、この攻撃で少なくとも24人が死亡したと発表した。

元ウクライナ海軍大佐で、現在は防衛兵站コンサルティング会社Sonataの戦略専門家であるアンドリー・リジェンコは本誌の取材に応じ、「実に見事な攻撃であり、開戦以来(ウクライナ軍がセバストポリに加えた)最大の攻撃だ」と語った。

「ウクライナ軍がこれほど強力な攻撃を行うことは、ロシアにとっては想定外だったはず。ロシア兵は大いに士気をそがれ、戦闘能力の低下もまぬがれ得ない」

攻撃に使われた兵器は明らかにされていないが、空軍司令官がパイロットの手柄をたたえたことから、英仏が共同開発した空中発射の長距離巡航ミサイル「ストームシャドウ」が使用されたと考えられる。ウクライナ軍はこの夏、英政府に供与されたこのミサイルで、クリミアに向かうロシア軍の補給ルートをたたき、反転攻勢の本格化に向けた地ならしをしてきた。

リジェンコもこのミサイルが使用されたと可能性が高いとみているが、ウクライナ国産の対艦巡航ミサイル「ネプチューン」の改造型が使用された可能性もあると指摘する。

地方自治体
人口減の自治体を救う「小さな浄水場」──誰もが常に安心な水にアクセスできる社会の実現へ
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

石油は米から買うかホルムズ海峡へ取りに行け、トラン

ワールド

ブチャ虐殺から4年、EU外相ら現地訪問 支援再確認

ワールド

中国、EU議員団の8年ぶり訪中を歓迎 関係安定化に

ワールド

イスラエル、レバノン南部に緩衝地帯設置へ 国防相表
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
2026年4月 7日号(3/31発売)

国際基準の情報開示や多様な認証制度──本当の「持続可能性」が問われる時代へ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引、インサイダー疑惑が市場に波紋
  • 3
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イラン恐怖」の正体
  • 4
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が…
  • 5
    アリサ・リュウの自由、アイリーン・グーの重圧
  • 6
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 7
    初の女性カンタベリー大主教が就任...ウィリアム皇太…
  • 8
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 9
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反…
  • 10
    年金は何歳からもらうのが得? 男女で違う「最適な受…
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 3
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 4
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」…
  • 5
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 6
    中国の公衆衛生レベルはアメリカ並み...「ほぼ国民皆…
  • 7
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊…
  • 8
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 9
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 10
    作者が「投げ出した」? 『チェンソーマン』の最終…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 6
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中