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牛のゲップだけでなく、稲作も──「メタンガス削減」に挑む、ベトナムの農家たち

2023年5月26日(金)13時45分
高木由美子(本誌記者)
ベトナムの水田

TOM...foto-shutterstock

<意外に知られていないのは、稲作で大量のメタンガスが発生すること。世界有数の稲作地帯メコンデルタのベトナムでは、稲わらを有効活用した対策が始まっている>

地球温暖化につながる温室効果ガスの1つ、メタンの発生源といえば、畜牛のげっぷがよく知られている。

だが意外に知られていないのが、稲作でも大量のメタンガスが発生していること。

水が張られた田はメタンが生成されやすく、収穫後に放置された稲わらからもメタンが発生し、稲わらを焼却処分することでもメタンや二酸化炭素などが放出される。水田からのメタンは、人為的なメタン排出の12%を占めている。

対策に立ち上がったのが、稲作地帯である東南アジア・メコンデルタのベトナムだ。稲わらを有効活用してキノコや有機肥料を生産して販売したり、田に常時水を張らない「間断灌漑(かんがい)」を採用したりといった活動が活発化している。

2021年には、30年までに20年比で世界のメタン排出量を30%削減するとした「グローバル・メタン・プレッジ」が発足した。

稲作の盛んなベトナムやインドネシアをはじめ100カ国以上が参加し(排出量が特に多い中国やインドなどは不参加)、メタン削減に世界の注目が集まる。

ベトナムの稲作農家にとっては、地球環境に貢献できるだけでなく、水のコスト削減や副生産物による臨時収入などにもつながっているようだ。

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編集部よりお知らせ

ニューズウィーク日本版「SDGsアワード」

2023年6月1日(木)11時30分
ニューズウィーク日本版編集部SDGs室

bee32-iStock.

「ニューズウィーク日本版」ではこれまで、雑誌やムック、ウェブサイトで国内外のSDGs事例や最新情報を発信してきました。

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SDGs

「@Press」とニューズウィーク日本版が、SDGsの「発信戦略」を語る対談セミナーを6/13(火)開催!

2023年6月5日(月)09時22分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
SDGsイメージ

metamorworks/iStock

<SDGsへの取り組みを進める企業が増えてきたなかで、課題となっているのが「周知の方法」です。今回、情報発信をテーマにセミナーを行うことになりました。>

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農業

ウクライナ、反転攻勢への徴兵で経験豊富な働き手失う農業 種まきや収穫に試練

2023年5月15日(月)10時32分
ウクライナ中部チェルカースィ州キシチェンツィ近郊の農場

ウクライナ中部チェルカースィ州で大規模な農場と牧場を経営するオランダ出身のキース・ホイジンガさんは、過去20年間で数多くの試練に見舞われてきたが、ロシアの侵攻で予想もしていなかった新たな問題を突きつけられた。写真は同州キシチェンツィ近郊の農場で1日撮影(2023年 ロイター/Valentyn Ogirenko)

ウクライナ中部チェルカースィ州で大規模な農場と牧場を経営するオランダ出身のキース・ホイジンガさん(48)は、過去20年間で数多くの試練に見舞われてきたが、ロシアの侵攻で予想もしていなかった新たな問題を突きつけられた。

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トラベル

大自然に抱かれる癒やしと安らぎの旅へ...一度は訪れたい世界の旅行先11選

Natural Healing Spots

2023年5月12日(金)12時30分
アイリーン・ファルケンバーグ・ハル、ニコール・ウェイクリン
カラハリ砂漠の南部にある「ツワル・カラハリ」

カラハリ砂漠の南部にある「ツワル・カラハリ」は南アフリカ最大の私有の野生生物保護区 TSWALU KALAHARI

<自然の治癒力で心と体を解放する旅に出よう>

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建築

環境に優しく、かつてない形状も可能に...3Dプリンターで丸ごと組み立てた「未来の建築物」たち

3D-Printed Buildings

2023年5月11日(木)18時26分
ジェームズ・ローズ(テネシー大学スマート構造研究所所長)
3Dプリント技術で建てられたハウス・ゼロ

3Dプリント技術で高強度コンクリートと木を組み合わせた「ハウス・ゼロ」を実現 PHOTO BY CASEY DUNN-LAKE | FLATO ARCHITECTS

<低コストで無駄なくスピーディー、環境にも優しい。自然と融合する「3Dプリント建築」の魅力>

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ニュース速報

ビジネス

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