最新記事

医療

「声を上げずにはいられなかった」...コロナワクチンは安全か? 医師たちの本当の声

2023年2月10日(金)17時26分
山田敏弘(国際ジャーナリスト)
新型コロナウイルス感染症ワクチン

kovop58-iStock

<ワクチン接種に反対する声を「根拠なし」と切り捨ててよいのか。2つのニュースを受け、医師たちが語ったワクチンへの本当の評価とは>

新型コロナの対策として、ワクチンの有効性が議論になっている。

新型コロナが蔓延して3年が過ぎたが、やっと昨年から徐々に経済活動や社会生活が再開されるようになった。そのきっかけはワクチン接種が社会の安寧をもたらしたという側面が大きい。一方で、日本のウイルス学者や医師たちがワクチンの危険性に声を上げている。

現在繰り広げられるワクチンをめぐる議論は、推進派と否定派の間で平行線をたどり、ワクチンを打つべきかどうかの明確な答えを出せないでいる人は少なくないだろう。

日本政府では、元ワクチン大臣の河野太郎デジタル相が「(新型コロナのワクチン接種に反対する)運動を行っている方々のほとんどは科学的に根拠のない話を繰り返している。デマを通じて接種を妨げるのは慎んでいただきたい」(1/29の講演にて)という発言をしている。

そこで本稿では、逆にワクチンのリスクを指摘する医師に取材を行い、その根拠を聞いてみた。

実はこの記事をまとめるきっかけになったのが、2つのニュースだ。一つは、2023年1月に、厚生労働省がコロナワクチンを接種した後に亡くなった36歳~96歳の男女5人に、「接種が原因で死亡した可能性が否定できない」として死亡一時金を支給することに決めたという報道。しかも同様に死亡一時金を、これまですでに15人に対して支払っているという。

実は、「可能性が否定できない」としているケースと、そうでないケースでは、明確な線引きがなされていないと指摘されている。例えば、病理医が因果関係ありと判定した死亡症例ですら、因果関係不明にされており、医師ではない役員が審査していることも問題になっているという。

もう一つのニュースは、神奈川県で健康だった13歳の少年がワクチン接種した後に浴槽で死亡したという痛ましい報道だ。もしワクチン接種に危険性があるならば、それは国がなんと言おうと、決して看過せるものではない。

医師が反対意見を述べにくい環境

そこで筆者は、医師に話を聞いた。「匿名なら」と取材に応じてくれたある医師は、国策であるワクチン接種に反対する意見を述べることを、所属医療機関や厚生労働省から歓迎されていないと言う。ただ「子どもが亡くなっている現実に、声を上げずにいられなかった」と言うことで、匿名で語ってもらった。

この医師がまず示したのは、ワクチン接種が世界的に早い時期から進められた「ワクチン先進国」で、新たに新型コロナに感染した人のうち、ワクチン接種者がどれほど含まれているのかを国ごとに調べた調査だ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

フィッチが仏国債格下げ、過去最低「Aプラス」 財政

ビジネス

中国、米の半導体貿易政策を調査 「差別的扱い」 通

ワールド

アングル:米移民の「聖域」でなくなった教会、拘束恐

ワールド

トランプ氏、NATOにロシア産原油購入停止要求 対
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人に共通する特徴とは?
  • 2
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 3
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる」飲み物はどれ?
  • 4
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 5
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 6
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で最も「火山が多い国」はどこ?
  • 9
    村上春樹は「どの作品」から読むのが正解? 最初の1…
  • 10
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 6
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 7
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中