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「声を上げずにはいられなかった」...コロナワクチンは安全か? 医師たちの本当の声

2023年2月10日(金)17時26分
山田敏弘(国際ジャーナリスト)

米国防総省のデータによれば、2021年8月28日にアメリカのワクチン接種率は51%だったが、同時期の新規感染者のうちワクチン接種者の占める割合は、71%に上った。さらに新型コロナ重症者のうち、ワクチン接種者の占める割合は60%だった。シンガポールでは、2021年9月12日時点で、新規感染者のうちワクチン接種者の占める割合は75%、重症者にいたっては、100%がワクチン接種済みだった(シンガポール保健省のデータ)。

ワクチン接種が早かったイスラエルでも、2021年〜7月16日当時はワクチン接種率が56%だったが、新規感染者のうち接種者の割合は84%で、重症者で接種者の占める割合は79%だった。イギリスでも、英国公衆衛生庁のデータでは、2021年7月19日当時、イギリスの接種率は68%だったが、新規感染者のうち88.2%がワクチン接種済みで、重症者の66.1%も接種済みだった。つまり、こうしたデータが意味するのは新型コロナウイルス感染症の感染や発症、重症化を防ぐというワクチンの「有効性」に疑念が生じているということだ。

ハーバード大学の人口・開発研究センターが2021年9月に公開したデータでは、世界68カ国の解析で、「ワクチン接種率が高い国ほど、感染率が高くなっている」ことがわかったという。

注意が必要なワクチン接種後「魔の2週間」

このデータは2021年のもので、今は当時のデルタ株などに加えてオミクロン株が広がっているが、この調査結果は現在のワクチン接種にも当てはまるのだろうか。

この医師は「オミクロン株以降、死亡者の7~8割は接種者です。大阪府のデータでも重症者のうち未接種は2割です。接種歴が不明なケースも多く、実際はもっと接種者の占める割合が多いかもしれません。付添の方々は病室に入室することが許可されないので、外来担当医が家族から接種歴を聴取しないと、本人が認知症のため接種歴が不明な例もあります。接種歴が不明なケースに接種済が含まれていると考えると、高齢者施設で4~5回目の接種を終えた方々がクラスターで次々と罹患し、死亡率も高くなっている現象が理解できます」と述べる。

さらに留意が必要となるのが、「魔の2週間」と呼ばれる事象だ。接種後2週間は、かえって新型コロナに感染しやすくなったことがわかっているのだ。例えばイスラエルでは、1回目の接種後14日以内の発症率は高くなったことがデータで示されている 。3回目のワクチンでも、イスラエルを例に見ると、接種13日以内に感染する人が多数出た。さらにデンマークでは、高齢者施設を調べたところ 、接種2週間以内に新型コロナに感染した入所者は1.4倍に、職員は2倍になっている。

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