最新記事

ペット

うちの愛犬に噛まれたと言い張る女性を「撃退」した「犬の精神科医」

I Hired a Dog Psychiatrist

2022年5月20日(金)12時48分
アゴタ・ガボール(元バレエダンサー、著述家)
アゴタ・ガボール

筆者は愛犬バルコを守り抜いた AGOTA GABOR

<何日も経ってから「かまれた」と言い掛かりをつけ始めた彼女に対し、犬の無実を裁判で証明する方法はほかになかった>

湖のほとりに立つコテージを購入したのは、一度は別れた夫と私がよりを戻し、娘と3人でカナダのトロントで暮らすことにしたときのこと。湖で泳ぐのを共にする犬も欲しくなり、入念なリサーチの結果、ポルトガルウオータードッグを飼うことにした。

評判の高い米デラウェア州のブリーダーを訪ねると、50頭を超える犬がいた。ほんの1分で毛むくじゃらのボールのような黒と白の子犬が私の膝に飛び乗ってきて、私たちの新しい家族になった。

私たちは子犬に「バルコ」と名前を付けた。ポルトガル語で船という意味だ。湖で一緒に泳ぐときは、私より先に進んでは私を気に掛けて戻ってくる。そして私にキスをして周りを泳ぎ、それからまた先へと泳いでいくのだ。

バルコが生後7カ月だった1999年10月のこと。私がごみ出しをしている最中にバルコが外に飛び出し、通り掛かりの女性を引っかく事件が起きた。

私は慌ててバルコを家に戻し、ジーンズが破けなかったか、けがをしていないかと女性に尋ねた。そして家の中にどうぞと声を掛け、ジーンズの弁償を申し出るとともにバルコのワクチン接種証明を見せようとした。だが彼女は、けがはしていないからと言って立ち去った。

1週間後に再びやってきた彼女

ところが1週間後、女性が再びやって来た。帰宅後に引っかき傷から出血していることに気付いて受診したところ、狂犬病の恐れがあるから動物管理当局に事件を届けるよう医師に指示されたと言うのだ。

予防接種はきちんと済ませているし、そもそも痛くも何ともないと言っていたのにどういうことなのか? 気が変わったのだと彼女は言った。

次の週、動物管理当局の人が家に来た。バルコはとてもいい子にしていたが、口輪の装着を命じられた。女性の主張が間違っていることを私が証明できなければ、バルコは一生、口輪を着け続けなければならない。私は何とかしてバルコの無実を証明しようと心に決めた。

ニューヨークに犬の精神科医がいることを突き止め、電話で状況を説明した。力を借りるには、トロントまで来てもらって事件が起きた状況を再現するしかない。依頼料は1時間当たり200ドルだったが、バルコのためなら何でもやるつもりだった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

インフレ鈍化「救い」、先行きリスクも PCE巡りS

ワールド

韓国輸出、5月は前年比-1.3% 米中向けが大幅に

ワールド

米の鉄鋼関税引き上げ、EUが批判 「報復の用意」

ワールド

ガザ停戦案、ハマスは修正要求 米特使「受け入れられ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岐路に立つアメリカ経済
特集:岐路に立つアメリカ経済
2025年6月 3日号(5/27発売)

関税で「メイド・イン・アメリカ」復活を図るトランプ。アメリカの製造業と投資、雇用はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシストの特徴...その見分け方とは?
  • 2
    3分ほどで死刑囚の胸が激しく上下し始め...日本人が知らないアメリカの死刑、リアルな一部始終
  • 3
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 4
    「ホットヨガ」は本当に健康的なのか?...医師らが語…
  • 5
    ペットの居場所に服を置いたら「黄色い点々」がびっ…
  • 6
    【クイズ】生活に欠かせない「アルミニウム」...世界…
  • 7
    「これは拷問」「クマ用の回転寿司」...ローラーコー…
  • 8
    メーガン妃は「お辞儀」したのか?...シャーロット王…
  • 9
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プ…
  • 10
    イーロン・マスクがトランプ政権を離脱...「正直に言…
  • 1
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 2
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシストの特徴...その見分け方とは?
  • 3
    3分ほどで死刑囚の胸が激しく上下し始め...日本人が知らないアメリカの死刑、リアルな一部始終
  • 4
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「ダイヤモンド」の生産量が多…
  • 6
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プ…
  • 7
    「ディズニーパーク内に住みたい」の夢が叶う?...「…
  • 8
    ヘビがネコに襲い掛かり「嚙みついた瞬間」を撮影...…
  • 9
    【クイズ】世界で2番目に「金の産出量」が多い国は?
  • 10
    イーロン・マスクがトランプ政権を離脱...「正直に言…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 5
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 6
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 7
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 8
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 9
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 10
    3分ほどで死刑囚の胸が激しく上下し始め...日本人が…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中