最新記事

新型コロナウイルス

オミクロン株で初の死者確認 「弱いウイルスという先入観」が危険なワケ

First Omicron Death Reported As Cases of COVID Variant Explode

2021年12月14日(火)14時11分
エド・ブラウン
ジョンソン首相

オミクロン株は軽症で済むという先入観を捨てるべきだと警告したジョンソン首相Jeremy Selwyn/Pool via REUTERS新型コロナウイルス

<感染者の多くが軽症で済むことよりも感染拡大のペースに注目すべきとジョンソン首相>

ボリス・ジョンソン英首相は12月13日、新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」に感染した1人が死亡したと発表した。イギリスでオミクロン株による死者が確認されたのは、これが初めてとみられる。

ジョンソンはロンドンで記者団に対して、「悲しいことに、オミクロン株に感染して少なくとも1人が死亡したことが確認されている」と説明。オミクロン株がそのほかの変異株よりも軽症で済むという考え方は捨てて、感染拡大ペースの速さに注目するべきだと述べた。

イギリスでは13日、オミクロン株に感染した10人が入院していることが分かった。サジド・ジャビド保健相がスカイ・ニュースに対して明らかにしたものだ。英保健省によれば、イギリスで13日までにオミクロン株への感染が確認された人の数は、4713人にのぼっている。

過去数週間の間に、南アフリカからの初期のデータを参考に考えると、オミクロン株はデルタ株よりも軽症で済む可能性があるという報告が複数出ていた。しかし科学者たちは、まだそのように判断するのは早すぎると警告していた。

WHO「弱いウイルスと決めつけるのは早計」

今回イギリスで報告された死亡例は、オミクロン株感染者として世界で初めて確認された死亡例のようだ。欧州疾病予防管理センター(ECDC)は、12日の時点では、管轄地域で「オミクロン株関連の死亡例は報告されていない」と述べていた。

米疾病対策センター(CDC)はこれに先立つ10日に発表した報告書の中で、12月1日から8日の間にアメリカで確認されたオミクロン株の感染者43人について、「これまでのところ死亡例は報告されていない」としていた。

10日にはファクトチェックサイト「スノープス」が、WHO(世界保健機関)から、オミクロン株による死亡例はこれまでに1件も報告を受けていないと聞いたことを報告していた。

だが、オミクロン株関連の死亡例は過去にもあったのに、そうと正式に認められなかった可能性はある。

WHOの新型コロナ対策技術責任者であるマリア・ファンケルクホーフェは12月上旬、英科学誌「ニュー・サイエンティスト」とのインタビューの中で、オミクロン株について「(毒性が)弱い」と言及するのは早計だと警告。感染が広まれば「死者は出るだろう」と述べた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

トヨタが米国で値上げ、7月から平均3万円超 関税の

ワールド

トランプ大統領、ハーバード大との和解示唆 来週中に

ワールド

トランプ米大統領、パウエルFRB議長の解任に再び言

ワールド

イランとイスラエル、再び互いを攻撃 米との対話不透
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:コメ高騰の真犯人
特集:コメ高騰の真犯人
2025年6月24日号(6/17発売)

なぜ米価は突然上がり、これからどうなるのか? コメ高騰の原因と「犯人」を探る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 2
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の「緊迫映像」
  • 3
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「過剰な20万トン」でコメの値段はこう変わる
  • 4
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 5
    全ての生物は「光」を放っていることが判明...死ねば…
  • 6
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
  • 7
    「巨大キノコ雲」が空を覆う瞬間...レウォトビ火山の…
  • 8
    マスクが「時代遅れ」と呼んだ有人戦闘機F-35は、イ…
  • 9
    「まさかの敗北」ロシアの消耗とプーチンの誤算...プ…
  • 10
    イギリスを悩ます「安楽死」法の重さ
  • 1
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 2
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 5
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 6
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
  • 7
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 8
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?.…
  • 9
    イタリアにある欧州最大の活火山が10年ぶりの大噴火.…
  • 10
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 3
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 4
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 5
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 6
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 7
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 8
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中