最新記事

宇宙

硬貨大のブラックホールが地球を破壊する

A Coin-Sized Black Hole Would Destroy Earth—Here's How

2021年4月6日(火)17時00分
エド・ブラウン

地球の回転や外向きの圧力を考慮に入れなければ、地球全体が約10〜15分でブラックホールに飲み込まれるはずだが、実際に起きることは、もっと複雑なのだ。

地球にブラックホールに呑み込まれることは、理論的にはありうる。だが、地球上に1セント銅貨サイズのブラックホールを作ることは実際には不可能だ。そのためには、膨大な量の物質と、それをごく小さなものに凝縮する方法がなければならない。さらに、これまで観測されたなかで地球に最も近いブラックホールは、1000光年離れている。

膨大な質量が、非常に小さな空間の一点に詰め込まれているブラックホールは、信じられないほど破壊的であると考えられている。宇宙に存在するブラックホールは、「事象の地平線」と呼ばれる球体に囲まれ、光をはじめ、この球体に入り込んだ物質は決して外に出ることはできない。

ブラックホールの大きさは、その事象の地平線の半径の観点から考えることができる。これは重力半径または、1世紀以上前にアインシュタインの方程式から、ブラックホールの存在を示唆するアイデアを導き出したドイツの天文学者カール・シュワルツシルトにちなんで「シュワルツシルト半径」と呼ばれている。

極小から超大質量まで

シュワルツシルト半径があるのは、ブラックホールだけではない。惑星や月、人間のような質量を持つ物体には、シュワルツシルト半径が存在する。

物理的半径がシュワルツシルト半径よりも小さくなると、物体はブラックホールになる。地球のシュワルツシルト半径は直径約8.7ミリ(直径約17.5ミリ)と考えられている。

アメリカの1セント銅貨は直径約19ミリなので、もし誰かが地球を米1セント銅貨より少し小さく縮めると、地球はブラックホールと化す。つまり、1セント銅貨サイズのブラックホールが存在するとすれば、その質量は地球よりも少し大きい。

一方、大きさが途方もないブラックホールも存在し、「超大質量ブラックホール(SLABS)」と呼ばれている。宇宙最大のブラックホールとされるTON 618の質量は、太陽の660億倍だ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米地裁、FRB議長の召喚状差し止めの判断維持 検察

ワールド

イラン上空で米戦闘機撃墜、乗員1人を救助 対イラン

ビジネス

米3月雇用者数17.8万人増、過去15カ月で最多 

ワールド

米政権、「脱獄不能」アルカトラズ監獄再開へ予算 ア
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
2026年4月 7日号(3/31発売)

国際基準の情報開示や多様な認証制度──本当の「持続可能性」が問われる時代へ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐせ・ワースト1
  • 2
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ海峡封鎖と資源価格高騰が業績を押し上げ
  • 3
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引、インサイダー疑惑が市場に波紋
  • 4
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始め…
  • 5
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅…
  • 6
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 7
    血圧やコレステロール値より重要?死亡リスクを予測…
  • 8
    中国は「アカデミズムの支配」を狙っている? 学術誌…
  • 9
    60年前に根絶した「肉食バエ」が再びアメリカに迫る.…
  • 10
    『ナイト・エージェント』主演ガブリエル・バッソが…
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 3
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引、インサイダー疑惑が市場に波紋
  • 4
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 5
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 6
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 7
    オランウータンに「15分間ロックオン」された女性のS…
  • 8
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 9
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反…
  • 10
    年金は何歳からもらうのが得? 男女で違う「最適な受…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 5
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中