最新記事

感染症対策

英政府、全人口対象の新型コロナ定期検査導入へ 感染抑えつつの封鎖緩和を目指す

2020年8月20日(木)10時17分

英政府は、全人口が定期的に新型コロナウイルス検査を受けられる体制を整える方針を示した。ストーンのドライブスルー検査所で7月撮影(2020年 ロイター/Carl Recine)

英政府は、全人口が定期的に新型コロナウイルス検査を受けられる体制を整える方針を示した。英国は新型コロナの被害が世界で最も大きい国の一つだが、感染拡大を抑えながら封鎖措置を緩和するのが狙い。

ハンコック保健相は、直ちに結果が分かる新たな検査を政府が検証していると説明。年末にかけて展開することを目指すという。

ジョンソン政権は、封鎖措置の導入や検査体制の整備が遅すぎたとして、野党や専門家に批判されてきた。

ハンコック保健相はBBCラジオで「全人口の検査導入で国民が定期的に受けることが当たり前になり、自由を幾分取り戻すことができる」と述べた。英南部ポートンダウンにある政府の研究所が、より早く結果を得られるように研究所に検査を送る必要がない新たな唾液検査を試していると述べた。

英政府によると、現在の検査能力は1日当たり33万5000件強。ただ、8月はどの日も実際の検査件数が15万から19万件にとどまった。

ブレア元首相はスカイニュースに対して「検査能力の約半分しか活用していない」と指摘。検査を増やすことで、事業に打撃となる封鎖や隔離措置の必要性が減る可能性があると述べた。

一部の国は検査能力をより有効に活用している。ドイツの検査協会は18日、1週間当たり100万件の検査能力のうち約75万件を活用していると述べた。

英ヒースロー空港は19日、隔離日数を現在の2週間から短縮するために、入国者が到着した際と数日後に2回検査を受けることが認められれば、空港に検査場所を開設する準備はできていると述べた。

英政府は、国家統計局が実施する検査に関する調査の対象を10月までに現在の2万8000人から15万人に、そしていずれ40万人に増やすことで、国内の状況や地域別の感染拡大をより正確に把握できるようにすると述べた。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【関連記事】
・コロナ感染大国アメリカでマスクなしの密着パーティー、警察も手出しできず
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ
・新たな「パンデミックウイルス」感染増加 中国研究者がブタから発見
・韓国、ユーチューブが大炎上 芸能人の「ステマ」、「悪魔編集」がはびこる


20200825issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年8月25日号(8月18日発売)は「コロナストレス 長期化への処方箋」特集。仕事・育児・学習・睡眠......。コロナ禍の長期化で拡大するメンタルヘルス危機。世界と日本の処方箋は? 日本独自のコロナ鬱も取り上げる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米FBI長官「信頼できる情報ない」、エプスタイン事

ワールド

パレスチナ国家承認、適切な時期含め総合的な検討継続

ビジネス

ネスレ会長が早期退任へ、CEO解任に続き 体制刷新

ビジネス

トランプ氏が解任の労働省前高官、「統計への信頼喪失
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 2
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、日本では定番商品「天国のようなアレ」を販売へ
  • 3
    中国は「アメリカなしでも繁栄できる」と豪語するが...最新経済統計が示す、中国の「虚勢」の実態
  • 4
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く…
  • 7
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 8
    「なにこれ...」数カ月ぶりに帰宅した女性、本棚に出…
  • 9
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 10
    「この歩き方はおかしい?」幼い娘の様子に違和感...…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中