最新記事

植物

中国からの「謎の種」、播いたら生えてきたのは......?

Plant Grown From Mystery China Seeds to be Removed

2020年8月5日(水)16時50分
セレン・モリス

中国から送られてきたのが何の種か知りたくて播いてみたら Bailey Devane-5 NEWS

<アーカンソー州の農民が好奇心に負けて種を播いたが、その「作物」は農務当局が掘り起こして調べることに>

アーカンソー州に住むある男性が、中国から送られてきた「謎の種」を実際に植えてみたところ、芽を出し、「驚くほどの勢いで成長している」と報告していることが明らかになった。地元の農務当局では、この植物を男性の地所から掘り起こして持ち帰り、詳しい調査を行うことにしている。

同州のブーンビルという町に住む、ドイル・クレンショーというこの男性は、「5ニュース」に次のように語った。「何の種なのかを確かめたくて、播いてみた。2週間おきに植えた場所に戻って肥料をやったら、驚くほどの勢いで成長し始めた」

クレンショーはニューヨーク・タイムズの取材に対して、ヒャクニチソウの種をアマゾンで注文したところ、正体不明の種が送られてきたと述べている。送られてきた荷物には、品名が「イヤリング」と書かれたラベルが貼られていた。クレンショーはこう述べている。「ちゃんとした植物だ。見た感じは、巨大なカボチャのようだ」

正体不明の種が入った謎の荷物が、中国からアメリカやカナダ各地の住所に送られる事例は、このところ相次いでいる。7月29日には米農務省(USDA)が、アメリカ在住の人宛てに中国から送られてきた種について、その一部の品種を特定したと明かした。

<参考記事>中国から米国に「謎の種」が送りつけられている......当局は「植えないで」と呼びかけ

米農務省の動植物検疫局のオサマ・エル=リシーは次のように述べた。「我々は種について14の異なる品種を特定した。カラシナ、キャベツ、アサガオ、ならびにミント、セージ、ローズマリー、ラベンダーなどのハーブ類のほか、ハイビスカスやバラなどの種もあった」

米農務省は声明で、これらの種は「ブラッシング詐欺」に関連して送付されていると考えられるとの見方を示している。ブラッシング詐欺とは、送り主が任意の相手に一方的に物品を送りつけ、その後、送りつけられた人の名をかたって偽のカスタマーレビューを投稿し、売上を伸ばす行為だ。

「種を返せ」と中国当局

声明はこう述べている。「USDAは現在、受け取った人から種の入った荷物を回収している。今後は内容物を精査し、アメリカの農業や環境に懸念をもたらす要因がないかについて調べる予定だ」

米農務省は、注文した覚えのない種が入った荷物を受け取った人に対し、種を植えずに、州あるいは連邦の農務事務所に送付するよう呼びかけている。

一方で、中国はアメリカに対し、捜査のために謎の種を送り返すよう求めている。中国外務省の汪文斌報道官は、記者会見でこう述べた。「植物の種は、万国郵便連合(UPU)加盟国の間で輸入や輸送が厳しく制限されている物品であり、条件付きでしか認められていない」

「中国郵政は、UPUの規定に厳密に従い、郵便による種の輸送を禁じている」と汪は述べた。

アリゾナ、バージニア、ワシントン、ルイジアナ、カンザス、ユタ、オハイオを含む複数の州では、7月以降、住民が中国から送付された正体不明の種を受け取った事例が報告されている。

(翻訳:ガリレオ)

【話題の記事】
「鶏肉を洗わないで」米農務省が警告 その理由は?
動物から人にうつる未知のウイルスの出現を止められない訳
セックスドールに中国男性は夢中
「中国はアメリカに勝てない」ジョセフ・ナイ教授が警告

2020081118issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
楽天ブックスに飛びます

2020年8月11日/18日号(8月4日発売)は「人生を変えた55冊」特集。「自粛」の夏休みは読書のチャンス。SFから古典、ビジネス書まで、11人が価値観を揺さぶられた5冊を紹介する。加藤シゲアキ/劉慈欣/ROLAND/エディー・ジョーンズ/壇蜜/ウスビ・サコ/中満泉ほか

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

民主社会主義者マムダニ市長のNY、金融街は競争力へ

ワールド

米、40空港で運航10%削減へ 政府機関閉鎖で運営

ワールド

UPS貨物機墜落、ブラックボックス回収 地上の犠牲

ワールド

米運輸省、7日に4%の減便開始 航空管制官不足で=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 3
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイロットが撮影した「幻想的な光景」がSNSで話題に
  • 4
    NY市長に「社会主義」候補当選、マムダニ・ショック…
  • 5
    「なんだコイツ!」網戸の工事中に「まさかの巨大生…
  • 6
    カナダ、インドからの留学申請74%を却下...大幅上昇…
  • 7
    もはや大卒に何の意味が? 借金して大学を出ても「商…
  • 8
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 9
    約500年続く和菓子屋の虎屋がハーバード大でも注目..…
  • 10
    若いホホジロザメを捕食する「シャークハンター」シ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 6
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 9
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 10
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中