「鶏肉を洗わないで」米農務省が警告 その理由は?
アメリカ、イギリス、スペインで行われる啓発
今回使われた大腸菌は、調査目的の病原性を持たないものだ。だがこれが、下痢や腹痛、発熱、嘔吐、頭痛などの食中毒症状を起こすカンピロバクターだった場合はどうだろうか? ギラン・バレー症候群につながることもあるカンピロバクターは、ニワトリやウシを始めとする家禽や家畜が多く持っており、数百個程度と比較的少ない菌の数でもヒトへの感染が起きる。ただし熱に弱く、しっかり加熱すればカンピロバクター食中毒は防げる。
日本の場合では、鶏刺し、鶏たたき、鶏わさといった生食をやめる、十分に加熱調理するといった啓発が中心で、「鶏肉を洗うな」という注意はあまり見かけない。
一方で米欧では、「鶏肉を洗って食中毒の原因菌を飛び散らせない」という啓発に熱心だ。これは、生肉が他の食品に接触したり、または生肉に触れた後に適切に洗わなかった調理道具や流し台などの調理場、手や服などとの接触により起きる汚染(交差汚染)への対策を重要視しているためだろう。鶏肉を洗った水が飛び散ったり、スパイス入れや生食するサラダに付着したり、というUSDA調査が想定したストーリーは、それが「よくあるケース」だからだ。
こうした啓発は最近始まったものではなく、2013年にUSDA支援によりニューメキシコ州立大学、ドレクセル大学が『Don't Wash Your Chicken(鶏肉を洗わないで)』というキャンペーン動画を公開している。「菌視点」で、流しの周囲の食材や調理器具に汚染が広がる様子を描いたものだ。わかりやすいが、現在までの視聴回数は約110万回程度で、まだまだ啓発をつづける必要がある。
Don't Wash Your Chicken! Germ-Vision Animation-nmsuaces
イギリスでは英国民保健サービス(NHS)が同様に「生の鶏肉を洗わないで」という情報を公開しており、鶏肉を洗った水は「周囲50センチメートル以上、全方向に飛び散る」と注意を促している。2015年にはスペインの食品安全機関も同様の啓発を行っている。
鶏肉の生食習慣のある日本だが......
食肉は中心に火が通るまで十分に加熱する、せっけんでしっかり手を洗って流す、食肉と他の食品を扱う調理道具や容器を分け、使用後には消毒・殺菌するという基本的な予防方法はどの国でも同じだ。加えて日本の場合は、鶏肉の生食というリスクの高い食習慣があるため、啓発の仕方が異なっているのだと考えられる。
とはいえ、サラダなどの他の食品を同時に調理するといったシーンは、日本でも十分に起きうることだろう。USDAの啓発に倣って、鶏肉を洗うという習慣はもうやめてもよいのではないだろうか? ドリップなどが気になる場合は、使い捨てのキッチンペーパーで拭いとる方法がおすすめだ。
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