最新記事

国家安全法

豪州も中国に反抗、ファイブアイズが香港市民を救う?

Five Eyes Nations Draw Fury From China by Pushing Back on Hong Kong Law

2020年7月10日(金)15時20分
デービッド・ブレナン

オーストラリアのマリズ・ペイン外相は8日、香港および香港国家安全維持法の問題について、ファイブアイズの同盟諸国と電話会議を行ったとツイート。同法は「一国二制度や国際的な合意への信頼を損なうものだ」として、「我々は力を合わせて人権と自由のための取り組みを行っていく」と述べた。

アメリカは中国共産党の複数の当局者に制裁を科し、香港の貿易上の優遇措置を撤廃。イギリスは最大300万人の香港市民に対して、移住や市民権獲得の道を開く方針を発表した。カナダは香港との犯罪人引き渡し条約の停止、および軍事物資の輸出凍結を決定し、ニュージーランドは中国との関係を「見直す」と表明している。

中国政府はファイブアイズの「内政干渉」に激怒。これらの国々に派遣されている中国の大使たちは、現地政府に激しい非難や脅しの言葉を浴びせている。駐カナダ中国大使の从培武は7日、カナダ市民は中国政府がどのような報復を行うか「見ているがいい」と発言。駐英中国大使の劉暁明は、「我々はあなた方の友人になりたい。パートナーになりたい。だがもし中国を敵に回したいなら、よくない結果を招くことになるだろう」と述べた。

「中国は自国の利益を守る」

在ニュージーランド中国大使館も、現地政府に対して「香港問題や中国の国内問題に干渉するのをやめて、健全で安定した二国間関係を促進するためにもっと多くの力を注ぐべきだ」と警告した。

米中両国は、ドナルド・トランプ米大統領が就任して以降、ライバル関係にあった。だが香港の反体制派の抑圧と新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の問題が加わったことで、険悪な様相を呈している。

中国の王毅外相は9日、米中関係についてのバーチャル・フォーラムにメッセージを寄せ、アメリカは「もっと合理的かつ実利的な対中政策」を取るべきだと述べ、中国政府は対立を望んではいないが、必要とあれば自国とその利益を守る行動を取る」と発言。「中国はもうひとつのアメリカにはなれないし、なるつもりもない」と述べた。

【話題の記事】
国家安全法成立で香港民主化団体を脱退した「女神」周庭の別れの言葉
メラニアとカナダのイケメン首相、G7で禁断の昼メロ劇場
カナダで「童貞テロ」を初訴追──過激化した非モテ男の「インセル」思想とは
セックスドールに中国男性は夢中

20200714issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年7月14日号(7月7日発売)は「香港の挽歌」特集。もう誰も共産党を止められないのか――。国家安全法制で香港は終わり? 中国の次の狙いと民主化を待つ運命は。PLUS 民主化デモ、ある過激派の告白。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ECBは「良好な位置」、物価動向に警戒は必要=理事

ビジネス

米製造業PMI、11月は51.9に低下 4カ月ぶり

ビジネス

AI関連株高、ITバブル再来とみなさず =ジェファ

ワールド

プーチン氏、米国のウクライナ和平案を受領 「平和実
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 2
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やってはいけない「3つの行動」とは?【国際研究チーム】
  • 3
    中国の新空母「福建」の力は如何ほどか? 空母3隻体制で世界の海洋秩序を塗り替えられる?
  • 4
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 5
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 6
    ロシアのウクライナ侵攻、「地球規模の被害」を生ん…
  • 7
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 8
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ…
  • 9
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 10
    EUがロシアの凍結資産を使わない理由――ウクライナ勝…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 7
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 8
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 9
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 10
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 10
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中