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ロシア諜報機関の汚れ仕事を担う、「29155部隊」は掟破りの殺し屋集団

Audacious but Sloppy Russian Spies

2020年7月8日(水)11時20分
エイミー・マッキノン

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スクリパリが毒殺されかけた現場で作業する防護服姿の英政府職員 PETER NICHOLLS-REUTERS

事件発生から半年後、英検察当局は十分な証拠に基づきGRUの工作員2名を容疑者と断定し、殺人未遂で訴追した。この2人がモスクワ発の旅客機で英国の空港に到着した瞬間から、その行動は逐一、イギリス側の監視カメラに捉えられていた。

だがイギリスが訴追を発表した1週間後、ペトロフとボシロフはロシアの国営テレビに登場し、自分たちは平凡なフィットネス・インストラクターにすぎず、イギリスには休暇で行き、大聖堂を見たくてソールズベリーに立ち寄っただけだと釈明した。

しかし2人の顔が分かると、べリングキャットは直ちにネット上で精力的な調査を開始。2人が参加したと思われるGRU訓練アカデミーのウェブサイトや卒業アルバムを徹底的に調べ、2018年に投稿された「アナトリー・チェピガ」なる人物の写真を見つけた。べリングキャットによれば、この男こそルスラン・ボシロフ。分離独立派が強くて政情不安なチェチェン共和国で活動し、後にロシア人最高の栄誉である「連邦英雄」の称号をもらった男だ。

GRUの工作員は、偽造パスポートに記載する名前に本物のミドルネームを使い、誕生日もごまかさないことが多いとされる。だから、リークされた出入国記録を洗えば本名を特定しやすい。スクリパリ暗殺未遂の共犯者ペトロフの本名も、これでアレクサンドル・ミシュキンであることが判明した。

旧ソ連で開発された神経剤を用いたことを含め、この作戦はあまりにずさんだった。だから多くの専門家は、わざとロシア政府の関与をほのめかしたのではないかとみている。これが国を裏切った者の運命だという「見せしめ」に違いないと言うのは、かつて米国家情報会議(NIC)でロシア・ユーラシアを担当していたアンドレア・ケンドールテイラーだ。

29155部隊の活動が明るみに出たのは、セルゲイ・フェドトフと名乗る第3の男の存在が判明したからだ。それを最初に報じたのはサンクトペテルブルクを拠点とする独立系ニュースサイトの「フォンタンカ」だった。この男(本名デニス・セルゲイエフ)の足取りを調べていたら2015年にブルガリアへ偽名で入国し、地元の武器商人エミリアン・ゲブレフの毒殺に関与していたことが判明したという。

ちなみに29155部隊は翌2016年にモンテネグロで、当時NATO加盟を目指していた政権の転覆を謀った証拠がある。その翌年の2017年にはスペインで、カタルーニャ地方の分離独立運動に肩入れした疑いもある。

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