最新記事

新型コロナウイルス

コロナ禍を上手く乗り切っているのはどの国か?49カ国ランキング

2020年7月21日(火)11時50分
高山 武士(ニッセイ基礎研究所)

先端技術系の企業・非営利団体であるDeep Knowledge Groupは大規模な分析しており、200に及ぶ地域に対して、多い国では130の指標を集計し、安全性評価の点数とランク付けをしている3。この評価では、経済活動への影響はほとんど考慮されておらず、感染拡大の防止力が評価に寄与する内容となっている。結果は、1位から順にスイス・ドイツ・イスラエルの順となっている。

このようにコロナ対応の評価方法は様々な切り口があり、結果にもバラツキがある。さらに、評価を実施する際のウエイトの置き方(例えば「健康」と「経済」ではどちらを重要視するか)でも評価に差が出てくる4。また、感染者数の今後の動向や、経済活動の回復ペースなどには不透明な要素も多いため、現時点で断定的な評価を下すことは難しい。

しかしながら、各国での感染状況や経済パフォーマンスを概観しておくことは、今後の経済動向を考察する際には有用であり、また各国のコロナ対策の初期評価としても興味深い内容である。

本稿では、シンプルに各国の「コロナ被害」と「経済被害」について、現時点で入手できる実データおよび予測データを利用して評価し、「コロナ被害」や「経済被害」が小さい国(=上手くコロナ禍を乗り切っている国)について考察してみたい5。

コロナ対応の評価方法

本稿では、「コロナ被害」および「経済被害」ついて、以下のように評価していく。

【コロナ被害】

「コロナ被害」については「(1)累積感染者数」「(2)感染拡大率」「(3)致死率」で評価する。

まず、「(1)累積感染者数(対人口比率)」によりコロナの蔓延度合い(封じ込めの効果)を直接計測する。ただし、先々の感染者数は現在の累積感染者数を見ただけではわからない。そこで「(2)感染拡大率(新規感染者の対累積感染者比率)」で感染が拡大傾向にあるか縮小傾向にあるかを評価する。感染が拡大傾向なら最終的な感染規模は大きく、逆に感染が縮小傾向なら最終的な感染規模は小さいとの想定のもと、今後の見通しを足もとの伸び率で評価している。

また、感染者が多かったとしても治療や自己免疫等で回復するのであれば、コロナ禍の被害としては小さいと考えられる。そこで「(3)致死率(対感染者比率)」も評価する。

ただし、感染者数、致死率ともに政府等の発表から作成されている点、その定義が公表主体によって異なる点には注意が必要である6。

――――――――――
3 https://www.dkv.global/covid-safety-assesment-200-regionsに公開。
4 例えば、学術研究として経済学的に最適なロックダウン政策を考察することも実施されている(「感染症の死亡コスト」と「経済活動損失」のトレードオフを最適にする解を調べる)。こうした研究では、「感染症の死亡コスト」を定量化するが、結局はこの死亡コストを大きく見積もるほど、厳しいロックダウンを長期間実施した方が良いことになる。学術研究については、例えば、日本銀行金融研究所のニュースレターでAlvarez, Argente, and Lippi による"A Simple Planning Problem for COVID-19 Lockdown"のモデルをベースラインとなるモデルとして紹介している(https://www.imes.boj.or.jp/japanese/newsletter/nl202006J1.pdf)。
5 本稿以前に高山武士(2020)「新型コロナウイルスと各国経済-金融市場の反応と各国経済へのインパクト」『ニッセイ基礎研レター』2020-04-10および、同「新型コロナウイルスと各国経済-双子の赤字と財政ファイナンス」『ニッセイ基礎研レター』2020-05-25でMSCI ACWIの指数を構成する49 カ国・地域について、金融市場や経済状況の調査をしており、本稿でも特に断りがない限り、これらの国・地域を対象とする。具体的な構成国・地域は後掲図表2の通りで、中国と記載した場合は中国本土を指し香港は除くこととする。また、香港等の地域も含めて「国」と記載する。また、以降の「先進国」「新興国」のカテゴリはMSCIの分類にもとづく。
6 例えば、ベルギーでは検査で新型コロナウイルスと確認されなくても、その可能性があるものを死亡者としてカウントしているので、過大評価をしている可能性がある。一方で、そもそも検査数が少ない国では、感染者数、死亡者数を過小評価している可能性がある。検査数や陽性率を評価対象に含めることもできるが、本稿では評価の分かりやすさを重視して、これらの要素は考慮していない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

NY外為市場=ドル弱含み、米イラン停戦維持を注視

ワールド

英海域にロ潜水艦、今年1カ月超 ケーブル攻撃阻止へ

ワールド

独首相「NATO分裂望まず」、ホルムズ安全確保に協

ビジネス

米国株式市場=続伸、中東和平交渉への期待感で
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの大誤算
特集:トランプの大誤算
2026年4月14日号(4/ 7発売)

国民向け演説は「フェイク」の繰り返し。泥沼化するイラン攻撃の出口は見えない

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 2
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収される...潜水艦の重要ルートで一体何をしていた?
  • 3
    撃墜された米国機から財布やID回収か、イラン側が拡散──深まる謎
  • 4
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 5
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで…
  • 6
    戸建てシフトで激変する住宅市場
  • 7
    高学力の男女で見ても、日本の男女の年収格差は世界…
  • 8
    目のやり場に困る...元アイスホッケー女性選手の「密…
  • 9
    「仕事ができる人」になる、ただ1つの条件...「頑張…
  • 10
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 1
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 2
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 3
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで代用した少女たちから10年、アジア初の普遍的支援へ
  • 4
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始め…
  • 5
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 6
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐ…
  • 7
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 8
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収され…
  • 9
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 10
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 6
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 7
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 8
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中