最新記事

新型コロナウイルス

スウェーデンの新型コロナ感染者数が1日最多に、死亡率も世界屈指

Sweden Reports Record High Single-Day Increase in Coronavirus Cases

2020年6月15日(月)17時50分
メガン・ルース

新型コロナ流行の中でも、公園でピクニックを楽しむスウェーデン人(5月30日、ストックホルム) Henrik Montgomery/REUTERS

<当局は、5月末からの感染者急増は検査の規模を拡大したからだというが、今や経済再開に踏み出す欧州諸国のお荷物に?>

スウェーデン政府の公衆衛生局は6月11日、1日あたりの新型コロナウイルス感染確認者数が過去最高の1474人になったと明らかにした。これまで最も多かった4日の記録をほんの数日で塗り替えた。

スウェーデンでは3月下旬以降、当局者の弁を借りれば「徐々に」感染が広がっていたが、5月末から増加の勢いは増している。公衆衛生局のデータによれば、感染者数は14日の時点で5万人を超え、死者数も4874人に達している。

公衆衛生局の感染症担当者は11日の記者会見で、感染者数の増加は全国規模で検査を拡大した結果だと述べた。検査対象には軽症者も含まれる。

「これまでも(感染者数は)緩やかに増えていたが、検査を増やした影響は明らかになりつつあると思われる」とこの担当者は述べたとロイターは伝えている。

感染者数が増加している一方で、コロナによる死者と重症患者の1日あたりの増加数は4月をピークに減少している。それでも死亡率は世界でも有数の高さだ。ジョンズ・ホプキンス大学のデータによれば、感染者の10%が死亡する計算だという。

同じ欧州でも先んじて感染拡大に見舞われたイタリアやイギリスといった国々と異なり、スウェーデンで感染者数が大幅に増加したのは最近になってからだ。当局はこれまで、ロックダウン(罰則付き外出制限)を行わず、軽症者や、感染者と濃厚接触したと思われる人に自主的な隔離を呼びかけるにとどめてきた。

政府の疫学専門家は対応の不備を認めた

周辺諸国は感染防止のために取ってきたさまざまな規制の緩和に動き出すとともに、第2波の早期の到来を防ぎつつ経済活動を再始動させるため、入国禁止措置をどの国から解除していくべきか検討を始めている。そんな中、幅広い隔離政策を採らなかったスウェーデンは欧州諸国の指導者たちから非難を浴びている。

3日にスウェーデン政府の疫学専門家アンデシュ・テグネルは地元ラジオ局の取材に応じ、政府のコロナ対応に問題があったことを認めた。もっとも彼は、公式な記者会見では政府の戦略は正しかったという立場を崩していない。

このインタビューでテグネルは「もし、今と同じだけの知識を手に同じ病気と遭遇したとしたら、スウェーデンと他の国々の中間の対策を取っただろうと思う」と答えたとロイターは伝えている。

本誌の取材に公衆衛生局は電子メールで回答し、最近の感染者数の増加は一般住民を対象とした検査が拡大した結果だとの見解を繰り返した。

「異なる国同士の統計データを比べるのは難しい。感染者の検出数には、例えばどのくらい検査が行われたかといったさまざまな要素がからんでいる」と、公衆衛生局の広報担当者は述べた。

「増加は軽症者に対する検査が増えたためだ。公衆衛生局は現時点で新たな対策は考えていない」

(翻訳:村井裕美)

<参考記事>「集団免疫」作戦のスウェーデンに異変、死亡率がアメリカや中国の2倍超に
<参考記事>「ストックホルムは5月には集団免疫を獲得できる」スウェーデンの専門家の見解

20200623issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年6月23日号(6月16日発売)は「コロナ時代の個人情報」特集。各国で採用が進む「スマホで接触追跡・感染監視」システムの是非。第2波を防ぐため、プライバシーは諦めるべきなのか。コロナ危機はまだ終わっていない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

英小売売上高指数、3月はコロナ禍以来の大幅悪化 見

ビジネス

英フィンテックのレボリュート、25年は57%増の過

ビジネス

英インフレ期待、3月に急上昇 中銀の懸念増大も=シ

ワールド

フィリピン、制裁対象国からの石油調達へ米国と協力
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:BTS再始動
特集:BTS再始動
2026年3月31日号(3/24発売)

3年9カ月の空白を経て完全体でカムバック。世界が注目する「BTS2.0」の幕開け

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国の公衆衛生レベルはアメリカ並み...「ほぼ国民皆保険」を達成した中国の医療保険の実態とは
  • 2
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」モナコ舞踏会に見る富と慈善
  • 3
    【クイズ】2年連続で「世界幸福度ランキング」で最下位になった国はどこ?
  • 4
    レストラン店内で配膳ロボットが「制御不能」に...店…
  • 5
    イランは空爆により核・ミサイル製造能力を「喪失」…
  • 6
    スペイン王室、王妃と王女の装いに見る「母から娘」…
  • 7
    「買ったら高いじゃん?」アカデミー賞会場のゴミ箱…
  • 8
    意外と「プリンス枠」が空いていて...山崎育三郎が「…
  • 9
    「日本人のほうが民度が低い」を招いてしまった渋谷…
  • 10
    まずサイバー軍が防空網をたたく
  • 1
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 2
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え時の装いが話題――「ファッション外交」に注目
  • 3
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が発生し既に死者も、感染源は「ナイトクラブ」
  • 4
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 5
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 6
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 7
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 8
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ…
  • 9
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 10
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラ…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中