最新記事

感染症

スペインの子ども、新型コロナの都市封鎖中6人に1人がうつを経験

2020年5月22日(金)15時46分

スペインの子どもの6人に1人近くが、新型コロナウイルス感染危機の期間中に定期的に憂うつな気持ちになっており、貧困な状況にある子どもほど苦しみが大きかったことが分かった。写真はスペインのロンダで4月撮影(2020年 ロイター/Jon NazcaFile Photo)

スペインの子どもの6人に1人近くが、新型コロナウイルス感染危機の期間中に定期的に憂うつな気持ちになっており、貧困な状況にある子どもほど苦しみが大きかったことが分かった。子ども支援の非政府組織「セーブ・ザ・チルドレン」が実施した調査で明らかになったという。

スペインでは新型コロナにより2万8000人前後が死亡。政府は世界で最も厳しいレベルのロックダウン(都市封鎖)を実施し、子どもは何週間にもわたり外出を禁止された。

調査によると、封鎖措置によって、家族で一緒に過ごす時間が増えたという回答が多い一方で、子どもの17%が、頻繁に、または毎日うつ状態に陥っていた。

新型コロナによる新たな経済的困難により格差が広がっていることも浮き彫りとなった。調査では、最も困窮している家庭の子どもの32.3%が不眠に悩み、30.1%がCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)に恐怖を感じていた。その割合は、さほど状況が厳しくない家庭より3分の1近く高かった。

また、経済状況が厳しい家庭の子どもほど、泣いたことが多かったという。

調査は、4月から行われた子どもや家族への面接1800件に基づいている。

セーブ・ザ・チルドレンは、貧困家庭の4世帯に1世帯が失業または収入減に見舞われ、子どもたちが緊張や不透明感の高まりを感じていたと説明。家賃節約のため見知らぬ人と共に暮らさざるを得なくなったケースもあるとした。

セーブ・ザ・チルドレンのスペイン支部のアンドレス・コンデ代表はロイターに、「家族でない人と狭い住居に隔離されることは、2つのストレスを抱えることになりリスクがある」と述べ、失業と、きわめて狭い空間に隔離されていることを挙げた。

[マドリード ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【関連記事】
・新型コロナよりはるかに厄介なブラジル大統領
・ワクチンができてもパンデミックが終わらない理由
・緊急事態宣言、京都・大阪・兵庫を解除 東京など5都道県も専門家が25日に評価し解除可能に=安倍首相
・コロナ独自路線のスウェーデン、死者3000人突破に当局の科学者「恐ろしい」


20200526issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年5月26日号(5月19日発売)は「コロナ特効薬を探せ」特集。世界で30万人の命を奪った新型コロナウイルス。この闘いを制する治療薬とワクチン開発の最前線をルポ。 PLUS レムデジビル、アビガン、カレトラ......コロナに効く既存薬は?

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場・序盤=ダウ一時最高値、政府再開の可能

ビジネス

米中に経済・通商協力の「極めて大きな余地」=中国副

ワールド

ECB総裁、5月からBISの主要会合議長に パウエ

ワールド

タイ・カンボジア国境の緊張高まる、銃撃応酬で1人死
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 2
    炎天下や寒空の下で何時間も立ちっぱなし......労働力を無駄遣いする不思議の国ニッポン
  • 3
    ファン激怒...『スター・ウォーズ』人気キャラの続編をディズニーが中止に、5000人超の「怒りの署名活動」に発展
  • 4
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 5
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 6
    ついに開館した「大エジプト博物館」の展示内容とは…
  • 7
    冬ごもりを忘れたクマが来る――「穴持たず」が引き起…
  • 8
    「麻薬密輸ボート」爆撃の瞬間を公開...米軍がカリブ…
  • 9
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 10
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評家たちのレビューは「一方に傾いている」
  • 4
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 5
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 6
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 7
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 8
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 9
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 10
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 10
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中