最新記事

感染症対策

日本の老舗酒蔵が乗り出す高濃度アルコール商品 基本は飲用、でも消毒液の代替品に

2020年4月10日(金)17時25分

老舗日本酒メーカーが、高濃度アルコール製品の製造に次々と乗り出している。2008年5月撮影(2020年 ロイター/Toby Melville)

老舗日本酒メーカーが、高濃度アルコール製品の製造に次々と乗り出している。商品はあくまで「飲用」だが、新型コロナウイルスの感染拡大により消毒用アルコールの不足が解消されない中、法規制が増産の壁となっている消毒用の「代替品」として注目されている。

江戸時代末期の安政年間に創業した加藤酒造店を前身とする明利酒類(茨城県水戸市)。日本酒の「副将軍」や焼酎の「漫遊記」などを製造する企業が、保有するアルコール製造ラインを活用し、アルコール度数65%の商品を開発した。

販売部課長代理の加藤木敦氏は「アルコール原料も販売している中で、得意先から何かできないかとの声もあり、開発した。外出自粛で家飲みが増えることから、あくまでドリンクとしての商品」と話す。

こうした企業は他にもある。日本酒や焼酎、リキュール、ラム酒などを製造する菊水酒造(高知県安芸市)は、アルコール度数77%の高濃度スピリッツ「アルコール77」の出荷を10日から開始した。江戸時代創業の若鶴酒造(富山県砺波市)も、アルコール度数77%の「砺波野スピリッツ77」を13日に発売する。

若鶴酒造では「高濃度エタノールの供給が不足している状況の中、アルコールを製造することができる酒造メーカーとして、この商品を製造供給することとした」とし、週約1000本を製造、北陸を中心とした医療機関や若鶴酒造直営店、ドラッグストアに優先的に供給する方針だ。

臨時措置として代替品へ

酒造メーカーが作る高濃度アルコールは、いずれの製品も一般的な消毒液と同程度のアルコール度数ではあるが、消毒や除菌目的で製造された商品ではないとの但し書きが付けられている。もちろん、効果をうたうことはできず、酒税もかかっている。

それでも、「消毒用」製品の代替品としての注目度は高く、菊水酒造のホームページには「反響が大きく、いったん弊社宛のメール受付を中止しております」と赤い文字で書かれるほど、問い合わせや注文が殺到している状況だ。

不足の解消がままならない消毒用エタノールは、医薬品医療機器等法の下で医薬品、医薬部外品として製造認可などの規制を受けるため、簡単に製造業者を広げることができない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アンソロピックCEO、AI軍事利用巡る米国防総省の

ビジネス

米30年住宅ローン金利6%割り込む、需要大幅押し上

ビジネス

カーライル、2000億ドルの新規資金流入目標 28

ワールド

オープンAI、安全対策強化へ措置発表 カナダ銃撃事
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
2026年3月 3日号(2/25発売)

フィンテックの進化と普及で、金融はもっと高速に、もっとカジュアルに

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからくりとリスク
  • 2
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの謎判定に「怒りの鉄拳」、木俣椋真の1980には「ぼやき」も
  • 3
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルーの大スキャンダルを招いた「女王の寵愛」とは
  • 4
    戦術は進化しても戦局が動かない地獄──ロシア・ウク…
  • 5
    住宅の4~5割が空き家になる地域も......今後30年で…
  • 6
    中国で今まで発見されたことがないような恐竜の化石…
  • 7
    「まるで別人...」ジョニー・デップの激変ぶりにネッ…
  • 8
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 9
    「3列目なのにガガ様が見えない...」観客の視界を遮…
  • 10
    「IKEAも動いた...」ネグレクトされた子猿パンチと「…
  • 1
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 2
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 3
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体には濾過・吸収する力が備わっている
  • 4
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの…
  • 5
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 6
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 7
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 8
    「#ジェームズ・ボンドを忘れろ」――MI6初の女性長官…
  • 9
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 10
    海外(特に日本)移住したい中国人が増えている理由.…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 5
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 6
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 9
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中