最新記事

育児

男性の育休取得について考える──月単位の育休で人事評価にも影響?「生産性」の評価を

2019年11月29日(金)16時30分
久我 尚子(ニッセイ基礎研究所)

夫の育休は長い目で見れば経済的なメリットも大きい kohei_hara-iStock

<「女性の活躍推進」政策が掲げられて5年、国家公務員男性職員の1ヶ月以上の育休取得率は2割を超えた。男性の育休取得で妻が就業継続できれば、世帯の生涯所得ははるかに増える?>

*この記事は、ニッセイ基礎研究所レポート(2019年11月5日付)からの転載です。

国家公務員男性は原則1ヶ月以上の育休へ

政府は2020年度から国家公務員の男性職員に対して、原則1ヶ月以上の育児休業の取得を促す方針を打ち出した。2013年に「女性の活躍推進」政策が掲げられて以降、公務員男性の育休取得は順調に伸びており、2018年には2割を超えた。しかし、女性の99.5%と比べれば差がひらいている(図1)。

Nissei191127_1.jpg

残念ながら、女性ではあまり議論にならないのだが、もし、男性の「月単位」の育休が広がれば、人事評価制度の一部が見直されるのではないかと注目している。

近年、民間企業でも男性の育休取得は進んでいるが、大半は数日から1週間程度のようだ。つまり、不在期間は夏期や年末年始の休暇等と変わらず、人事評価に影響の無い範囲だ。最近では女性と同様に数ヶ月単位の育休を取得する男性もあらわれているが、一部の報道によれば、育休復帰後は左遷されたり、その会社に居難くなるということもあるようだ。

「男女雇用機会均等法」が成立して30年余り、また、最近の「女性の活躍推進」政策の後押しもあり、制度環境の整備が進み、女性も男性も育休を取得できるようにはなってきた。しかし、その後のキャリア形成や人事評価については「あくまで自己責任で」という印象が否めない。

「マミートラック」という言葉がある。育休や時短を利用した後、いざフルタイムで復帰すると、出産前のキャリアコースではなく、昇進・昇格とは縁遠いコースに固定されてしまうことだ。出産前にハイキャリアを歩んでいた女性ほど、モチベーションが低下しやすく、退職にもつながりやすい。

先の男性の育休復帰後の不運な処遇なども生じる理由の1つには、「働き方改革」で生産性向上の重要性が叫ばれ、有給休暇取得の義務化や残業時間規制が進む中でも、相変わらず労働時間の長さが評価につながりやすい企業等が多いことがあるのではないだろうか。

介護との両立にも必要な「生産性」という視点

確かに経営側から見れば、ブランク無く業務に邁進する社員は戦力として期待しやすい。また、労働時間を確保できて「量」をこなせることは重要であり、時間をかければ「質」を上げられることもあるだろう。

ニュース速報

ビジネス

石油需要、2022年までにコロナ禍前の水準に回復=

ビジネス

アングル:早期解散の思惑に揺れる与党、先送りなら石

ビジネス

米アメリカン航空、客室乗務員8000人余剰 10月

ワールド

中国、円滑なサプライチェーン確保へ11カ国とコミッ

MAGAZINE

特集:Black Lives Matter

2020-7・ 7号(6/30発売)

今回の黒人差別反対運動はいつもとは違う──「人権軽視大国」アメリカが変わる日

人気ランキング

  • 1

    世界最大の中国「三峡ダム」に決壊の脅威? 集中豪雨で大規模水害、そして...

  • 2

    国家安全法成立で香港民主化団体を脱退した「女神」周庭の別れの言葉

  • 3

    スウェーデンの悪夢はパンデミック以前から始まっていた

  • 4

    韓国、環境対策で包装材削減に向けた「セット販売禁止…

  • 5

    コロナ禍なのにではなく、コロナ禍だからBlack Lives…

  • 6

    「大した問題でもないのにやり過ぎ」北朝鮮幹部、金…

  • 7

    急速に勢いを失いつつあるトランプ、大統領選の潮目…

  • 8

    海王星の「ダイヤモンドの雨」を新たな手法で解析

  • 9

    山本太郎の胸のうち「少なくとも自分は、小池さんに…

  • 10

    中国・超大国への道、最大の障壁は「日本」──そこで…

  • 1

    世界最大の中国「三峡ダム」に決壊の脅威? 集中豪雨で大規模水害、そして...

  • 2

    中国・超大国への道、最大の障壁は「日本」──そこで浮上する第2の道とは

  • 3

    BLMの指導者「アメリカが我々の要求に応じないなら現在のシステムを焼き払う」の衝撃

  • 4

    米南部の感染爆発は変異株の仕業?

  • 5

    韓国「炭酸カリウム」を不当廉売? 経産省が調査開…

  • 6

    国家安全法成立で香港民主化団体を脱退した「女神」…

  • 7

    米中スパコン戦争が過熱する中、「富岳」の世界一が…

  • 8

    韓国、環境対策で包装材削減に向けた「セット販売禁止…

  • 9

    スウェーデンが「集団免疫戦略」を後悔? 感染率、…

  • 10

    傲慢な中国は世界の嫌われ者

  • 1

    世界最大の中国「三峡ダム」に決壊の脅威? 集中豪雨で大規模水害、そして...

  • 2

    街に繰り出したカワウソの受難 高級魚アロワナを食べたら...

  • 3

    ポスト安倍レースで石破氏に勢い 二階幹事長が支持表明、鍵握る麻生副総理

  • 4

    自殺かリンチか、差別に怒るアメリカで木に吊るされ…

  • 5

    宇宙に関する「最も恐ろしいこと」は何? 米投稿サ…

  • 6

    「この貞淑な花嫁は......男だ」 イスラムの教え強い…

  • 7

    傲慢な中国は世界の嫌われ者

  • 8

    中国・超大国への道、最大の障壁は「日本」──そこで…

  • 9

    「集団免疫」作戦のスウェーデンに異変、死亡率がア…

  • 10

    木に吊るされた黒人男性の遺体、4件目──苦しい自殺説

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

英会話特集 グローバル人材を目指す Newsweek 日本版を読みながらグローバルトレンドを学ぶ
日本再発見 シーズン2
CCCメディアハウス求人情報
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
Wonderful Story
メールマガジン登録
CHALLENGING INNOVATOR
売り切れのないDigital版はこちら

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

絶賛発売中!

STORIES ARCHIVE

  • 2020年7月
  • 2020年6月
  • 2020年5月
  • 2020年4月
  • 2020年3月
  • 2020年2月