最新記事

軍拡競争

米中ロの歯止めなき核軍拡時代まであと2年

Russia Prepares Weapons 'No Other Country Has,' U.S. Says It 'Must Address'

2019年11月7日(木)15時30分
トム・オコナー

音速の20倍のスピードで標的に達するという超音速飛翔滑空兵器「アバンガード」の発射実験(露ヤースヌイ宇宙基地、2018年12月26日) RUSSIAN MINISTRY OF DEFENSE

<戦略兵器削減条約(START)が失効する2021年以降の「自由な」軍拡時代に備え、米ロは軍縮条約を破棄し、軍縮のレトリックを弄ぶだけ>

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が、最新鋭兵器の開発など軍の偉業を称えていることに、アメリカが警戒感を募らせている。

モスクワの大クレムリン宮殿では11月6日、プーチンは、国にとって最も重要なのは「ロシアと国民を国内外の脅威からしっかりと守ること」だと語った。「陸軍と海軍には高度な備えがあると証明されているが、今後さらに防衛能力を増強し、ほかのどの国も保有していない、極超音速やレーザーなど最先端技術を活用した兵器を配備していく」

これは誰かに脅威を与えるためのものでもない、とプーチンは強調した。「我々には、軍縮を推し進めるために最善を尽くす用意がある。これらの新型兵器は、我が国の安全を確保するためだけのものだ」

アメリカのABM脱退が皮切り

ロシアとアメリカは長年、より破壊力の大きな新型兵器の開発を通じて世界を危険にさらしていると、互いを非難してきた。両国政府は冷戦中になんとか敵対関係を克服しようと、複数の軍縮協定を締結したものの、21世紀に入って再び関係が悪化するとそれも破られるようになった。

まず2002年、アメリカが弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約から脱退。米国防総省は、世界各地にさまざまなミサイル迎撃システムを配備するようになった。プーチンはこれを、ロシアの安全を揺るがす世界的なミサイル防衛網の構築に向けた動きと受け止めた。プーチンは2018年3月に一連の新型兵器の導入を発表した直後、MSNBCとのインタビューの中で、アメリカのABM脱退が「軍拡競争のはじまり」だったと振り返った。

ロシアが2018年3月に発表した新兵器には、大陸間弾道ミサイル「RS-28サルマト」や極超音速飛行滑空兵器「アバンガード」などがある。アバンガードはICBMに搭載可能で、音速の20倍での飛行が可能だという。このほかには、同じく極超音速の空中発射弾道ミサイル「Kh-47M2キンジャール」や、後に導入された海上発射型巡航ミサイルの「3M22ツィルコン」がある。

ロシアが誇る最先端兵器


こうした全ての兵器(さらに新型原子力魚雷「ポセイドン」や原子力推進式巡航ミサイル「9M730ブレベストニク」、レーザー兵器「ペレスヴェート」など)は、既存の優れた防衛システムに対しても、そして未来の防衛システムに対してさえも「無敵」だと言われている。中国も同様の兵器開発を進めており、警戒感を募らせるアメリカもこの分野の開発を積極的に進めるようになっている。

<参考記事>ロシア、兵士や戦車を隠す「透明マント」を開発
<参考記事>ロシアのT14戦車、トイレが付いて最強?

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米上院、手頃な価格住宅法案を可決 下院で審議へ

ワールド

米、ホルムズ海峡で国際有志連合と共に船舶護衛へ=財

ワールド

イラン国連大使「ホルムズ海峡封鎖しない」、安全維持

ビジネス

米大手銀行資本手当ては「小幅に」減少、FRB副議長
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのミュージカル入門
特集:教養としてのミュージカル入門
2026年3月17日号(3/10発売)

社会と時代を鮮烈に描き出すミュージカル。意外にポリティカルなエンタメの「魔力」を学ぶ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 2
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車整備は収入増、公認会計士・税理士は収入減
  • 3
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃に支持が広がるのか
  • 4
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 5
    「イラン送りにすべき...」トランプ孫娘、警護隊引き…
  • 6
    「映画賞の世界は、はっきり言って地獄だ」――ショー…
  • 7
    2万歩でも疲れない? ディズニー・ユニバで足が痛く…
  • 8
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 9
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 10
    イランがドバイ国際空港にドローン攻撃...爆発の瞬間…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 4
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 6
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗…
  • 7
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 8
    日本の保護者は自分と同じ「大卒」の教員に敬意を示…
  • 9
    中国はイランを見捨てた? イランの「同盟国」だっ…
  • 10
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中