最新記事

山本太郎現象

「山本太郎を操っている?」斎藤まさしに全て聞いた

2019年10月29日(火)16時45分
大橋 希(本誌記者)

――今後、山本さんがつまずく可能性は?

あらゆる事態が想定される。殺されるとかもあり得る。日本の富を独占しようとしている人たちにとっては、石井紘基よりも危険人物だから。

平成は消費税とともに始まり、この30年で経済が、日本が没落していった。今の上皇は、そういう状況にじくじたる思いを持っていると思う。(上皇は)太郎に対しては親近感を持っているかな、と僕は思っている。それを一番感じたのは、(園遊会での)太郎のお手紙事件があったとき。右翼からの批判がすごく、その先頭に立っていたのが昨年亡くなった鴻池(祥肇)さんだった。彼は天皇主義者で、太郎に(ナイフが入った封筒が届いたとき)「切腹用の刀が送られたそうだ」と発言した。そのとき上皇(当時の天皇)は宮内庁の記者会見で「天皇が心配している」と言わせた。太郎のところにカミソリや銃弾が送られてきたりとすごかったのが、この瞬間にぴたりとやんだ。鴻池さんはそれから死ぬまで、太郎の面倒を随分と見てくれた。それは鴻池さんが、上皇のそういう気持ちを感じ取ったからではないか、と俺は勝手に推測している。

参院選では、菅さん(官房長官)を中心にした官邸は、天皇の代替わりキャンペーンを最大の武器にしようとした。ものすごい金を突っ込んでたんだよ。でも太郎が「れいわ」を使った瞬間に、それを封じられたと思う。

――命を狙われる以外では、どんな心配がある?

さっき言ったように、彼が本当に人を見る目を磨かないとつぶされる。人を活かす力をつけないと、何千万の人たちを味方につけ、動かし続けることは不可能だから。

今は太郎から僕に連絡してくることはなくて、僕が言いたいことがあるときに連絡する。太郎には、お互いに言いたいことを言える人がまだ少ないと思う。そういう人を2桁は周りにつけられないと。

その人の個性を生かし、短所を補える人たちがどれだけ周りにいるのか。角さんがなぜあれだけ潰されてもキングメーカーであり続けたかといえば、官僚や自民党の中に、彼が長年かけて関係を築いたそういう人たちがいたからだ。

――野党の中にも、山本さんの味方になりそうな人は。

山ほどいる。それはよく知っている。これだけのスターが野党の中に生まれたのは、民主党が政権を取ったときから10年ぶり。あのときは鳩山さんがどこに行っても、今の太郎と同じくらい人が集まった。今の野党にはそのスターがいなくて苦しんでいる。国民と立民で新党作っても、民主党の焼き直し。太郎だったら、旧民主党と何のかかわりもなく、彼らの裏切りとも関係ない。なぜそれを使わないんだ、と思う。

4年以内に太郎が政権取れなかったら、永遠に総理にはなれないと思う。その4年先も選挙があると思っていたらダメだよ。どんどん選挙はやりにくくなっている。ずっと見ているから分かる。僕は「未必の故意による黙示的共謀」で公選法違反の有罪判決を受けた。政権にとって不都合な存在なら、いつでも誰でも共謀罪で逮捕できる。そんな時代になっちゃった。

実際には自由な選挙なんて、とっくになくなっている。今回の選挙まで、国政選挙で現職の国会議員を有する政治団体が、選挙本番まで諸派で扱われたことは、NHKも含めて、過去一度もなかった。田中康夫の新党にっぽんであろうが、荒井広幸の新党改革であろうが、選挙で2%取ったことがなくても、必ず党名で扱われた。5人の政党要件をクリアしたところと扱いの大きさは違っても、新聞でも、必ず党首の顔写真は出たし、政策も出た。それぐらいメディアが統制されたのは今回の参院選が初めてだった。

20191105issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

10月29日発売号は「山本太郎現象」特集。ポピュリズムの具現者か民主主義の救世主か。森達也(作家、映画監督)が執筆、独占インタビューも加え、日本政界を席巻する異端児の真相に迫ります。新連載も続々スタート!

関連ワード

ニュース速報

ワールド

桜を見る会前日の夕食会費明細書、「そうしたものはな

ワールド

スリランカ大統領選で元国防次官が勝利、対立候補と大

ワールド

イラン最高指導者がガソリン値上げ支持、抗議デモは敵

ビジネス

英、不動産の新規販売件数が急減 ブレグジットと総選

MAGAZINE

特集:世界を操る政策集団 シンクタンク大研究

2019-11・19号(11/12発売)

政治・経済を動かすブレーンか「頭でっかちのお飾り」か、民間政策集団の機能と実力を徹底検証

人気ランキング

  • 1

    トランプが日本に突き付けた「思いやり予算」4倍の請求書

  • 2

    日本のノーベル賞受賞に思う、日本と韓国の教育の違い

  • 3

    深い眠りによって脳内の老廃物が洗い流されていることがわかった:研究結果

  • 4

    災害後の復興増税が誤った選択肢である理由

  • 5

    「安い国」になった日本の現実は、日本人にとって幸…

  • 6

    アメリカが繰り返し「ウソ」を指摘......文在寅直轄…

  • 7

    香港の若者が一歩も退かない本当の理由

  • 8

    GSOMIA失効と韓国の「右往左往」

  • 9

    「アイル・ビー・バック」のせりふと共にターミネー…

  • 10

    ペットに共食いさせても懲りない飼い主──凄惨な退去…

  • 1

    GSOMIA失効と韓国の「右往左往」

  • 2

    ペットに共食いさせても懲りない飼い主──凄惨な退去後の現場 

  • 3

    アメリカが繰り返し「ウソ」を指摘......文在寅直轄「国家安保室」の暴走

  • 4

    日本のノーベル賞受賞に思う、日本と韓国の教育の違い

  • 5

    トランプが日本に突き付けた「思いやり予算」4倍の請…

  • 6

    文在寅政権の破滅を呼ぶ「憲法違反」疑惑──北朝鮮の…

  • 7

    香港デモ隊と警察がもう暴力を止められない理由

  • 8

    「安い国」になった日本の現実は、日本人にとって幸…

  • 9

    中国は「祝賀御列の儀」をどう報道したか?

  • 10

    ヤクルトが韓国で最も成功した日本ブランドになった…

  • 1

    マクドナルドのハロウィン飾りに私刑のモチーフ?

  • 2

    「アメリカは韓国の味方をしない」日韓対立で米高官が圧迫

  • 3

    意識がある? 培養された「ミニ脳」はすでに倫理の境界線を超えた 科学者が警告

  • 4

    GSOMIA失効と韓国の「右往左往」

  • 5

    インドネシア、巨大ヘビから妻救出した夫、ブタ丸呑み…

  • 6

    「武蔵小杉ざまあ」「ホームレス受け入れ拒否」に見る深…

  • 7

    中国人女性と日本人の初老男性はホテルの客室階に消…

  • 8

    アメリカが繰り返し「ウソ」を指摘......文在寅直轄…

  • 9

    ペットに共食いさせても懲りない飼い主──凄惨な退去…

  • 10

    日本のノーベル賞受賞に思う、日本と韓国の教育の違い

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

英会話特集 資産運用特集 グローバル人材を目指す Newsweek 日本版を読みながらグローバルトレンドを学ぶ
日本再発見 シーズン2
CCCメディアハウス求人情報
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
メールマガジン登録
CHALLENGING INNOVATOR
売り切れのないDigital版はこちら

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

絶賛発売中!

STORIES ARCHIVE

  • 2019年11月
  • 2019年10月
  • 2019年9月
  • 2019年8月
  • 2019年7月
  • 2019年6月