トランプのウィキペディアページは常に戦争中
Donald Trump’s Wikipedia Entry Is a War Zone
編集者は疑わしい投稿にも目を光らせている。トランプ政権の誰かが、都合のいいように修正しようとしている可能性があるからだ。ツイッターも含め、政治的な意図による情報操作は珍しいことではない。
一方で編集者のプライバシーは慎重に保護されている。編集者や管理者の本名や経歴などは公表されていない。
トランプのページに関与している編集者も、トランプに詳しいから選ばれた専門家ではない。トークページの議論に積極的に参加し、編集に貢献してきた実績で選ばれている。
「概要」めぐり議論沸騰
彼らはページの記述の守護者であり、どんなに小さな加筆や修正も徹底的に議論する。閲覧する側は、誰が書き、誰が編集しているのかを知る由もない。ただし、編集者の中には自分の素性をほのめかしたり、ヒントを与えたりする人もいる。トランプのページに関して言えば、こんな人たちだ。
Scjessey は米ペンシルベニア州在住のイギリス人で、元ウェブ・デザイナー。モータースポーツに関する記事の編集も手掛けている。編集歴が10年以上の JFG はスイス人だ。「スイス人は中立、独立、正確で知られている。これぞウィキペディアに求められる資質だ!」とメールで伝えてきた。
例の米ロ首脳会談でのトランプ発言について記述すべきだと主張した MrX は11年にウィキで活動を始め、建築と地理、政治のページを手掛けている。しばしばトランプ擁護に回る Atsme は元ドキュメンタリー映画の制作者で、海洋生物に関するページの編集もする。
編集者の議論が最も沸騰するのは、ページの先頭に置かれた4パラグラフから成る概要部分だ。ウィキはこの部分をとりわけ重視している。平均的な閲覧者は1つのトピックに数分しか費やさないとされるので、最初の4パラグラフしか読まない可能性が高いからだ。
トランプのページで言えば、4パラグラフの概要にロバート・ムラー特別検察官によるロシア疑惑捜査の結果を書き込むべきだと主張する編集者もいるが、まだ結論は出ていない。
最も議論を呼んでいるのは、3パラグラフ目にある「彼の発言や行動の多くは人種差別と取られかねない、あるいは人種差別主義者のものとされている」の部分だろう。
卑怯な書き方だ、と反発する編集者もいる。編集者 HiLo48 は「『人種差別と取られかねない』は曖昧で不明瞭ではないか」と、トークページに書き込んでいる。「これではトランプ本人がよく使う言い逃れ表現とほとんど同じだ」