トランプのウィキペディアページは常に戦争中
Donald Trump’s Wikipedia Entry Is a War Zone
だがウィキが中立性の堅持を旨とし、トランプは人種差別主義者ではないと堅く信ずる編集者が相当数いる事実を考えれば、この一文が概要に採用されたこと自体が奇跡に近い。
トランプの嘘とトランプへの抗議活動をめぐる記述に関しても、同様の議論が起きた。一部の編集者が嘘と抗議活動を抜きにしてトランプは語れないと主張すれば、別の編集者は、抗議活動はどの政権でも起きるし、そもそも嘘をつかない大統領などいないと反論した。
政権発足以来、トランプとその支持者はニュースメディアに対して前代未聞の攻撃を仕掛けている。そのため、ごく基本的な事実についても、時には意見の一致を見るのが難しい。
ウィキのガイドラインは編集者に、ニューヨーク・タイムズやワシントン・ポストなどの「信頼できる情報源」を参照するよう求めているが、この両紙はまさにトランプがフェイク(偽)ニュースの温床と呼んで敵視している媒体だ。
こうした新聞ばかり参照しているとウィキの中立性が損なわれると主張する編集者もいる。「今の有力紙は反トランプだ。もっとバランスを取らなければいけない」と、JFG は言う。
トランプのページが他と際立って異なるのは最新情報の多さだ。引きも切らずに押し寄せるニュースの波から何を選択するのか、変化が見込まれる状況をどう正確に切り取るのか、編集者は頭を悩ませる。
ウィキはユーザー参加型のメディアだから、情報が新しいものに偏りがちだ。新旧の情報をバランスよく混ぜなければ、閲覧者には歴史的背景を踏まえた全体像がつかめない。
必ず合意に至る不思議
閲覧者がトランプのページで見たいのは必ずしも最新情報ではないだろう。それでも昨年4月、政権が「ゼロ・トレランス(寛容ゼロ)」政策を発表し、国境で不法移民の親子を引き離していると報じられると、一部の編集者は色めき立った。
「この政策について1段落作ろう」と、MrX はトークページで提案した。「今や時代の顔は国境の巨大な壁ではなく、親から引き離される子供だ」
意見は割れた。「トランプ」ではなく「トランプ政権」のページで取り上げればいいと考える人もいた。この政策は前政権から引き継いだものであり、今さら騒ぎ立てるのはおかしいと、トランプ政権の主張を代弁する人もいた。